中国公認教会で最大の杭州基督教会崇一堂は、教会からの十字架撤去に抗議したために政府からの迫害に直面している顧約瑟(Gu Yuese)牧師が、収監中も信仰を守ることができるよう祈りを要請した。
祈りの課題を含む崇一堂の発表文には、「会衆に対し、特に顧約瑟牧師のために祈るよう願っており、逆境の中でも信仰を守り、十字架の試練の中でも堅く立てるよう、主が顧牧師を助けてくださるように懇願している」とある。
顧氏は1月、現在も続いている中国国内での十字架の強制撤去に抗議したことで逮捕された。チャイナエイドは、顧氏が1月末ごろ、「特定の場所にある監視のための居住施設」、別名「黒監獄」としても知られる場所に移送されたと伝えた。
共産党政権は、幾つかの省にまたがる大規模な取り締まりの中で、数百カ所の教会の十字架撤去を命じた。政権は、顧氏の逮捕によって、国内の著名な教会指導者でさえ政権の指揮下に置かれていることを示した。
政権は、十字架の撤去は建築基準違反によるものだと主張している。しかし、チャイナエイドや国際キリスト教コンサーンなどの迫害監視団体は、この取り締まりと、国内のクリスチャン人口増加に対して政府が抱いている不安との関係を指摘している。
チャイナエイドの創立者で代表の傅希秋牧師は顧氏の逮捕について、「十字架の強制破壊に反対する人々への取り締まりが、さらに強まっていることを示しています」と語った。「文化大革命以降逮捕された公認教会の指導者の中で、最も高位でしょう」
傅氏は、中国政府が発しているメッセージに誤りはないだろうと述べた。「これは実に、(取り締まりの)強化です」と傅氏。「このことを通して、教会から将来起こり得る反対の声を黙らせるためのシグナルを送っています。全ての人に黙るよう命じています」
ロヨラ大学メリーランド所属で中国のキリスト教についての権威、カーステン・ヴァラ氏は取材に対し、ここ数カ月の間に政府が多くの活動家を逮捕したことを明らかにした。
「最も気掛かりなことは、弁護士や市民活動家に対する弾圧が、公認の宗教団体や社会団体にまで及ぼうとしていることです。非公認団体だけではありません。何といっても、顧牧師は中国共産党の公認教会による中国基督教三自愛国運動委員会の指導者の一人なのです」
昨年7月、国内のカトリック教会とプロテスタント教会は、政府の弾圧に抗議するため、どこにでも十字架を持ち歩くキャンペーンを合同で行った。それに応答した多くの信者が、自宅にある十字架を入れて撮った自分の写真をソーシャルメディアに投稿した。