信教の自由を守る慈善団体「世界キリスト教連帯(CSW)」の報告によると、キューバで「前代未聞」規模の教会破壊が起こっているという。
昨年、キューバにおける信教の自由の侵害の件数は、2014年の220件に比べて約10倍の2300件に上った。急増の理由は政府による攻撃にあり、アッセンブリーズ・オブ・ゴッドの教会2千カ所が違法とされ、100カ所が破壊された。
報告書では、キューバ政府と宗教関連機関の関係が「一貫して相反」するようになり、「粗野で大衆的な戦略」が信教と内心の自由を制限するために使われるようになったと記述されている。
「週ごとに、州の治安職員が物理的に、暴力的に女性たちを日曜午前の礼拝から引きずり出しています」と報告書にはある。「ほとんどの場合は、宗教の礼拝の終了まで恣意的に拘束されました。政府は、政治的反体制派とみなす人を標的とし、頻繁かつ恣意的な拘束をする戦略をとっています。この方策は、どんな理由だろうと政府によって問題があるとみなされる宗教指導者たちにも適用され、ここ4年間で初めて、ある教会指導者が無認可の宗教の礼拝を行ったとして拘束され、6カ月間投獄されました」
教皇フランシスコとバラク・オバマ米大統領の訪問の後、以前は国際社会から孤立していた島国のキューバは、急速に開かれるようになった。CSWの分析によると、キューバ政府は、社会的、政治的変化を呼び掛けるいかなる団体をも破壊することで、社会の動乱の可能性をなくそうとしている。
CSWの最高経営責任者マーヴィン・トーマス氏は、CSWが気軽に「前代未聞」という言葉を使っているわけではないと主張した。
「改革をする約束をしたにもかかわらず、政府が断固として教会を含む市民社会を強く掌握し続けようとしているのは明らかです」とトーマス氏。「私たちは、こうした暴力を非難し、信教や内心の自由の権利が尊重されるよう呼び掛けるために、公に語っている宗教団体の勇気をたたえます。国際社会に対し、彼らと共に立ち、キューバにこのような人権侵害の責任を追及するよう願います」