韓国カトリック司教会議正義と平和委員会は4日、同委員会委員長のユ・フンシク司教名で、韓日両国「韓日慰安婦合意文」に関する声明を発表した。これを受けて、日本カトリック正義と平和協議会は14日、その日本語訳を韓国語版と共に公式サイトに掲載するとともに、同協議会会長の勝谷太治司教による「「慰安婦」問題に関する日韓最終的合意についての談話」を15日付で発表した。
その日本語版によると、同委員会は冒頭で旧約聖書のイザヤ書32章17節に言及して「平和は正義の結果です」とした上で、「1. 『韓日慰安婦合意文』は人権を経済と外交論理に置き換えました。2. 歴史と人権においては、最終的・不可逆性という論理は成り立ちません」と主張。「正義を求める叫びと人権の保護は教会の基本義務です。特に、貧しく疎外されている弱者の兄弟姉妹に差し伸べる優先的な配慮と選択は教会に付与された特別な召命です」と論じた。
その上で、「よって、私たちは、最も明白な人権侵害の事例である日本軍『慰安婦』問題を、日本軍『慰安婦』制度の被害者であるハルモニの方々、そして全ての人間の尊厳性に基づいて、深刻に考え、根本的に再検討することを求めます」と主張。「真の『平和』と『正義』は相矛盾しないものであり、平和は正義の具現の実りとして私たちに与えられるからです」と述べた。
最後に、「従って、韓国カトリック教会は、この度発表された『韓日慰安婦合意文』について非常に深く懸念を示し、韓日両国政府関係の方々がこの問題について原点から再検討するよう、強く求めます」と結んでいる。
一方、勝谷司教はその談話の中で、「この問題は国家による組織的人権侵害が行われたということであり、その被害者がおられるにもかかわらず、本人たちへの直接的な謝罪は全くなされていません」と指摘。「今回の謝罪は被害者の痛みに寄り添っておらず、被害者不在のままでは何ら謝罪の意図が伝わるものではありません」と批判した。
勝谷司教は、「歴史的な過ちへの責任ある謝罪とは、今後二度とそのようなことを起こさないためにも行われるのです。そうであれば、最終的、不可逆などはありえず、 その過ちを歴史に刻み、繰り返し思い返していくことが必要であり、加害者の側からは謝罪も繰り返しなされるべきです」と主張。その上で、「今回の政府の態度は謝ったのだから過去のことは『水に流して』無かったことにしろと言っているようなものです。歴史はなかったことにはできません。記憶され続けるところに未来への展望があるのです」と結んでいる。