冒とく罪で死刑判決を受けたキリスト教徒のアーシア・ビビさん(50)は、収容後7回目のクリスマスを迎え、迫害者を赦(ゆる)した。
伊紙ラ・スタンパの報道によると、ビビさんは昨年12月24日、刑務所を訪れた家族に対し、「クリスマスは神の憐れみを祝う時です。私は迫害した人たち、濡れ衣を着せて告発した人たちを赦します。そして彼らの赦しを待ちます」と語った。
高等裁判所は、間もなく控訴審の聴取の日程を決めると見られる。
5児の母であるビビさんはさらに、「イエスが今日を私にとって幸せな日にしてくださり、祈りを受け入れてくださいました。私は今日家族に会えて、クリスマスを共に祝うことができて興奮していますし、喜びがあふれています」と述べた。
クリスマスイブは、イスラム教徒にとっても祝日だ。ビビさんは、「今日はまた、預言者ムハンマドの誕生を祝う日です。今日、彼に平安がありますように。率直に言って、無礼を働こうと思ったことなどありません。しかし、私は刑務所に7年いますが、私に間違ったことをした人を憎んでいません」と語った。
そしてさらに、「私は聖なる預言者ムハンマドが、従う者に対し知恵を授け、世界中で平和が築かれ続けるように祈ります。そしてイエス・キリストが全世界に平和を与えてくださるように祈ります」と続けた。
彼女は、控訴審で訴えが聞かれるように、全世界のクリスチャンに祈りを願った。
カトリックの信者で、ビビさんの事件をフォローする弁護士のカリル・タヒル・シンドゥ少数民族相は、彼女をパキスタンに住むキリスト教徒にとっての「模範」だと述べた。キリスト教徒たちは「調和と希望のメッセージの支持者」とシンドゥ氏。
ビビさんの夫アシク・マシーさんとルネサンス教育財団ラホール支部長で家族の後見人を務めるジョセフ・ナディーム氏は、ビビさんの言葉に「深く感動した」と述べた。
パキスタンの過酷な冒とく法は、少数派に対する惨劇と不正義を拡大させている。2014年には1400件の事件があった。パキスタンの裁判所は、冒とく罪で3人に死刑、6人に終身刑、3人に懲役2年の刑を科した。
カラチの弁護士協会のスポークスパーソンを務めるニサル・シャル弁護士は、冒とく罪で告発された個人を弁護することは、弁護士にとってさえ危険なことになったと語った。ビビさんの弁護士はイスラム教徒だが、続けてビビさんの弁護人を務めることを決断した。
ラ・スタンパは記事の終わりに、「彼女は神の恵みに圧倒されて、人間の目から見て間違っており、捻じ曲げられ、不幸としか思えないような自分の歩みを祝福することができている女性だ」とつづっている。