燦葉出版社から出版されている、静岡県浜松市にある教会「ぶどうの木」による絵本『一つになろうよ!!命の絵本・命の糸に出会う本』(2014年)の韓国語版が、昨年10月25日に出版された。本作は、恋愛、結婚、子育て、家庭がどういったものであるのか、またどうあるべきかを、聖書の言葉をもとに、子どもでも大人でも理解できるようにまとめられた絵本。韓国語版出版にあたっては、作者の山田聖子牧師(同教会)自らが翻訳を行った。山田牧師は、「一つになろうよ」という本作の題名に、日韓両国の親善を願う気持ちも込めているのだと話す。
神を知らなかった少女が神と出会い、愛する人と出会って結婚し、子育てをしていくストーリーが全72ページ(韓国語版は80ページ)オールカラーで描かれている。その中に、50カ所の聖書の言葉が引用されており、読みごたえも抜群。子育て中の夫婦や、子どもが与えられることを願っている夫婦、結婚を控えているカップルに、ぜひ手元に置いてもらいたい一冊だ。夫婦やカップルだけでなく、全ての人が、自分の命、生き方、愛する家族について考えることのできる絵本となっている。韓国語版には新たに、山田牧師と韓国の友人が聖書によって言語、文化、歴史、言葉の壁を越えて一つになった証しを紹介する文と絵が加えられた。
韓国の梨花女子大学に留学していた山田牧師は、留学した当初「日本人が嫌い」だという韓国人女性と知り合った。その女性は、日韓両国の歴史、特に慰安婦問題について山田牧師に話した。ひどく衝撃を受けた山田牧師は、日本人として心から謝罪するとともに、その女性に福音を伝え始めた。二人は今でも親交が続いている友人となったが、それは「聖書によって、互いを許し、愛し、祝福するようになった」からだという。「私たちの出会いは小さなことかもしれないが、違う文化と不幸な歴史を踏みしめて一つになれるということを確認できた。私たちの和解の媒体になったのは聖書の御言葉の力だと思う。この二人の特別な友情を通してつくられた絵本を通して福音が伝わり、日韓両国に和解の気持ちが広く伝わることを望む」と、山田牧師は話す。
日本国内で韓国語訳の書籍が出版されることは非常にまれなことだが、出版社社長の白井隆之氏の協力を得て実現に至った。2015年はちょうど、日韓国交正常化50周年の年でもあったので、絵本の帯には「日韓国交正常化50周年を記念して、日本から親愛なる韓国の皆様に送ります」とのメッセージが記された。山田牧師は出版当初、この絵本を在日韓国人の人々に読んでもらい、「一つになろうよ!」という思いを伝え、在日韓国人への福音伝道に用られたらと考えていた。
しかし、韓国語版出版に際しての推薦文を寄せたウェストミンスター神学大学院大学校のジョン・インチャン総長の「素晴らしい本なので、国家的行事にしよう!」との呼び掛けで、同年11月19日、韓国で記者会見が行われることになった。キリスト教連合新聞社や女性新聞社など韓国の各メディアからも注目が集まり、2016年春には、韓国の出版社から正式に出版されることが決まった。韓国の店頭に、「日本から親愛なる韓国の皆様に送ります」とのメッセージが並ぶ日も近い。
絵本『一つになろうよ!!命の絵本・命の糸に出会う本』の日本語版は定価1000円(税込)。一般書店、大型書店、アマゾンなどで購入可能。日本語版・韓国語版に関する問い合わせは、燦葉出版社(電話:03・3241・0049、メール:[email protected])まで。