今年10月、日本正教会の西日本主教教区で、新しい2人の司祭が誕生した。京都生神女福音大聖堂・西日本教区センターで、ダニイル府主教座下によって執り行われた「神品機密」(しんぴんきみつ)と呼ばれる新司祭叙聖式において、ナファナイル小川卓輔祭とグリゴリイ伊藤慶郎輔祭が司祭に叙聖された。
「神品機密」とは、聖職者(=神品)である主教、司祭、輔祭を叙聖する機密(=サクラメント、秘跡)のこと。機密は、広義には、目に見えない神の恩寵が目に見えることを通して働くことのすべてを意味するが、狭義には、洗礼機密、聖体機密、婚配機密などの各儀式のことを指す。神品機密は、聖体礼儀において、主教が手を候補者の頭の上にのせることで執行される。
至聖所に進んだ候補者は、至聖所内の宝座の周囲を回り、主教から按手を受けた。按手の後に、主教が候補者に祭服を授けつつギリシャ語で「アクシオス」(適任なり)と唱えると、神品と聖歌隊はそれに応答し、これによって新神品は教会で承認された。この神品機密において神品は、機密を執行する恩寵と、人々を導くための恩寵を神から授けられる。
ナファナイル小川卓神父とグリゴリイ伊藤慶郎神父は、それぞれ別の日に叙聖されたが、両神父とも式の最後に十字架に接吻し、ダニイル座下から祝辞と記念品の聖像が贈られた。ナファナイル小川卓神父は徳島教会、グリゴリイ伊藤慶郎神父は名古屋教会の司祭として祝福され、今後の活躍が大いに期待されている。