世界的伝道者ビリー・グラハム氏の後継者であるフランクリン・グラハム氏をメッセンジャーに迎え、国内外から多くのクリスチャンアーティストが参加して行われた伝道大会「セレブレーションオブラブwithフランクリン・グラハム」が22日、フィナーレを迎えた。3日間にわたって行われた大会最終日のこの日、東京・九段下の日本武道館には約1万3千人が集まり、ほぼ満席となった。グラハム氏の力強いメッセージに応答した多くの来場者が、今大会のテーマである「キリストの愛で始まる、新しい人生」を踏み出した。
最終日のオープニングを飾ったのは、今大会のために2千人のゴスペルクワイアを募集し、結成された「セレブレーション・ゴスペル・クワイア」。小さな赤い鳩が集まってハートの形になっている大会のロゴマークがプリントされた、おそろいのTシャツを着たメンバーたちが、3曲のゴスペルを披露して会場を盛り上げた。
開会の祈りがささげられた後、スウェーデン生まれのゴスペルシンガー、レーナ・マリアがステージに立った。両腕がないという障がいを乗り越え、あらゆる可能性に挑戦する前向きなその姿は、世界中の人々を励ましている。小さいころから聖歌隊で歌い、ストックホルム音楽大学現代音楽科を卒業後、プロの歌手として本格的な活動を開始したが、水泳選手としてもよく知られ、1988年のソウルパラリンピックでは3種目で入賞を果たしている。
ステージの真ん中に備えられた椅子に座り、歌い始めると、会場はその優しく澄んだ歌声の持つ温かい雰囲気に包まれた。レーナ・マリアは「心の中にイエス様を受け入れると、はっきり自分が変わったことが分かり、景色の色さえ変わってしまう」と話し、「トップ・オブ・ザ・ワールド」や、日本語で「キリストにはかえられません」を賛美した。また、「なぜあなたはいつも幸せそうにしているのか、障がいを持っているのにその前向きさはどこから来るのか」とよく質問されるが、その答えは「私の中にイエス様がいてくれるから」と言い、「You light up my day」を賛美。「あなたこそが私の全てを照らしてくれる、憎しみを赦(ゆる)しに変えてくれる」とイエス・キリストに出会った喜びを歌うと、会場から大きな拍手が湧いた。
続いて登場したのは、福岡を中心に活動するゴスペルグループ「New Wings」。「あなたはすばらしい」や「新しいいのち」などの曲を賛美し、その中で「イエス様と出会って新しい命を得ることができた」と主をたたえた。さらに、アコースティック、クラッシク、ブルーグラスの速弾き、ロック、カントリーミュージックとどんなジャンルの曲でも弾きこなしてしまう著名ギタリスト、デス二・アガジャニアンがソロ演奏を披露。「さくらさくら」の演奏では、日本の名曲のギターアレンジに、会場から大きな拍手が送られた。最後は、12人のプロミュージシャンからなる「トミー・クームズ・バンド」が、「希望は永遠に主にある」と日本語の歌詞を交えて賛美した。
大会のために参集した一流のアーティストたちの演奏は、2階席まで埋め尽くされた会場を主への賛美で満たした。
グラハム氏は、自分がこの場に来たのは「一つのチャンスをあなたに与えるため」と話し、「あなたの魂が神の手にあって守られているかどうかがはっきり分からなければ、今日がチャンス。ぜひ前に出てきて、あなたの人生にイエスを迎えるための祈りを共に祈らせてほしい」と語り掛けた。
「私たちの魂は罪を犯しているため、神との間には隔たりができている」と述べ、罪から来る報酬は死であり、その罪のためにイエス・キリストが十字架にかかり、血を流されたこと、神はご自分の独り子に全人類の罪を背負わせ、墓に葬らせたが、キリストは3日後によみがえり、生きて、今東京におられることをグラハム氏が伝えると、会場からは大きく「アーメン」の声が上がった。
グラハム氏は、「人が全世界を得たとしても、命を損じたら何の得があるか」と語り、「1人の魂は全世界の何物よりも価値がある」と力を込めた。さらに、「私たちは見えるものではなく、見えないものにこそ目を留める。見えるものは一時的であり、見えないものはいつまでも続く」と話し、「魂に価値があるのは永遠だからだ」と説いた。
また、ヘブライ人への手紙9章27節「人間にはただ一度死ぬことと、その後に裁きを受けることが定まっている」を引用し、「今私たちが罪を告白し、赦しを請えば、神は全ての罪を赦してくださる。神はそのことを忍耐して待っておられる」と語った。さらに、「罪とは神の律法にそむくことだ」と述べ、その律法は十戒で示されており、どんな小さなこと一つでも罪を犯していれば、天国に行くことはできないと話した。
グラハム氏は、ローマの信徒への手紙6章23節「罪が支払う報酬は死です。しかし、神の賜物は、わたしたちの主キリスト・イエスによる永遠の命なのです」を引用し、「全ての人が悔い改めることを神は望んでおられる。神は私たちを待っていてくださる。神に出会える唯一の道は、真理であるイエスを信じること」と述べた。「イエスが、私たちの罪を背負って死んでくださったことにより、私たちは愛を知った。イエスだけが私たちの罪を背負ってくださった。だから、イエスが『真理』だといえる」とし、「イエスは、道であり、真理であり、命である。イエスを通らなければ、誰も神のところにはいけない」と力を込めた。
メッセージが終わると、グラハム氏の招きに応答し、罪を告白してイエス・キリストを受け入れる信仰を決心した多くの来場者が、ステージの前に続々と集まってきた。グラハム氏の導きのもと、一同は、人生にイエス・キリストを迎える祈りを共にささげた。大会終了後も、信仰を決心した多くの人々が、隣についたカウンセラーと共に祈りをささげていた。
参加した30代の女性は、「集まった人の多さに驚いた。グラハム氏の話は分かりやすくストレートに伝わって、とてもよかった。準備に4年間かかったということだが、またぜひ東京で開催してほしい」と感想を語った。また、約50年前に開かれたビリー・グラハム氏の大会にも参加したという70代の男性は、「ビリー・グラハム氏のメッセージは今も忘れない。今回も参加できてよかった。信仰を再度確認することができた」と感慨深げに話した。