1989年にその生涯を神に明け渡して以降、400万人以上に福音を語ってきた伝道者、フランクリン・グラハム氏をメッセンジャーに招き、世界的に有名な豪華クリスチャンアーティストたちが集結する3日間のフリーコンサート「セレブレーションオブラブwithフランクリン・グラハム」が20日、日本武道館(東京都千代田区)で開幕した。
「北海道から来ました、希望を歌うロックバンド、ナイトdeライトです!」。来場者が続々と集まる中、予定の時間を少し過ぎてからオープニングミュージックが始まり、トップバッターのナイトdeライトがあいさつすると、会場からは大歓声が起こった。「終わらない夢」など3曲を演奏したナイトdeライトだが、1曲目の演奏から観客の多くが立って手を振る姿が見られ、「最高の時間がみなさんを待っています!」というボーカル・平野翔一の呼び掛けに、会場の期待感は高まった。バトンを受け継いだのは、武道館で演奏することを長年の目標に掲げていたロックンフォークバンド「サルーキ=」。武道館のステージに立てたことを感謝し、人生の歌「uda uda」など3曲を力一杯パフォーマンスした。サルーキ=の千代は、「今日は、電車に乗って来たが、座っていたら涙が出てきた。感謝が溢れてきた。ここに立つことができているのもそうだし。でも、一つだけ言いたいことがある。本当の神様、イエス・キリストと歩む人生はこんなに楽しい!!」
開演に先立っては、ステージのスクリーンに、フランクリン・グラハム氏の父である全米で最も著名な伝道者ビリー・グラハム氏が、かつて同じ日本武道館でメッセージを語った時の映像が映し出された。若き日のビリー・グラハム氏の姿、モノクロの映像に、時代の移り変わりを感じさせるとともに、「主の名を呼び求める者は誰でも救われる」という福音のメッセージは、今も変わることのないことが伝えられた。オーストラリア・シドニーから来たヒルソング教会の「ヒルソングワーシップ」チームが登場すると、会場の空気はまたがらりと一変。「一緒に賛美できることをうれしく思う。私たちは一言も日本語が話せないが、今晩は共に礼拝したい。この場におられる王の王、主の主に賛美していこう」という呼び掛けと、洗練されたワーシップソングで、人々の心を礼拝へと導いた。また、「私たちの心を整え、日本中にあなたが満ちるように」という祈りがイエスの御名によってささげられた。
このコンサートのジェネラルマネージャーを務める石田敏則氏の紹介でステージに登場したのは、3度のグラミー賞など数々の受賞歴を持つ、米国の国民的シンガー、マイケル・W・スミス。今年の夏にプライベートでも日本を訪れ、このコンサートを覚えて多くの準備をしてきたというが、実は今、父親が重篤な状態にある中で、コンサート前日にシンガポールから日本に到着したという。演奏前には石田氏が、会場に集まった多くのクリスチャンに癒やしの祈りを求めた。マイケル・W・スミスは終始にこやかに、そして力一杯賛美をささげた。「Open the eyes of my heart」「Above all」など、世界中の人々に愛され、歌い続けられている賛美の数々をキーボードの生演奏で歌い上げた。舞台上では、「Tokyo!」という掛け声を連発し、何度もマイクを来場者側に向けて声を拾うような動作を見せ、会場と一体感のあるステージを作り上げた。「私は、日本を愛している。この素晴らしい国に来ることができて本当にうれしい。これはコンサート以上のもの、神様を礼拝する時。今夜グラハム氏が持ってきたメッセージは、真実であり、今までにないことを語ってくれる。この国のために祈り、これからも祈り続ける。神様の祝福があるように!」
グラハム氏のメッセージ前には、世界的なギターの早弾き奏者デニス・アガジャニアンが演奏する中、来場者一同による感謝の献金がささげられた。そして、世界中を飛び回り、グラハム氏がメッセージをする集会において、必ず賛美奉仕をする重要な働きを担うトミー・クムーズ・バンドの賛美で、聖書の言葉に聞く備えがなされた。「一つの真実なことがある。それは、世の中が言う以上に、神はあなたを愛しているということ。今、この世界には救い主の贖(あがな)いと赦(ゆる)しが必要。私たちにとっての唯一の希望は、イエス・キリストが救い主だということだ」とバンドメンバーは語り、「My hope 希望は永遠に主にある」と日本語の歌詞を交えて賛美をすると、会場全体から温かい拍手が起こった。
「まず今晩第一に知っていただきたいのは、神様はあなたを愛しており、あなたの罪を赦したいと願っておられるということです。今晩、あなたには、人生をイエス様にささげる決心をする機会が与えられます」。この日、グラハム氏が伝えたのは、私たち人間には罪があるということ、神はその罪を赦し、神と共に歩む者へと私たちを変えることができるということ。その上で、「では、あなたの罪は本当に赦されていますか」と人々に呼び掛けた。聖書にある「放蕩(ほうとう)息子」の箇所、ルカによる福音書15章を開き、父親の財産の分け前を持って放蕩にふけった息子は、まさに現代に生きる人そのものであると語った。人々は、この世のあらゆる楽しみを手に入れることを求めている。「確かに、iPhone6Sを手に入れたら、私もうれしく思う」と会場の笑いを誘った。だが、とグラハム氏。平和や人生の目的をも探し求めている人々の心は、神のみが満たすことができると強調した。しかし、ここで重大な問題にぶつかる。神と人との間には、その関係を阻むものがあるのだ。それが「罪」だ。罪とは、嘘をつくこと、夫婦の関係を超えて性的な関係を持つこと、また人工妊娠中絶を含む殺人もそう。そのような罪にさいなまれ、苦しんでいる人がいるならば、神はその罪を赦したいと願っておられるのだ。「あなたの罪は本当に赦されていますか」。グラハム氏は、この問いの答えにもし迷いがある人がいるならば、「今夜私と共に、心にイエス・キリストを受け入れる祈りをしましょう。放蕩息子が帰って来たことを父親が祝ったように、神も今夜あなたを迎え入れたいと願っておられる」と人々に招きの声を掛けた。多くの人々がその声に応えて、アリーナ席、1階席、そして2階席から続々とステージの前に進み出て、グラハム氏の導きのもと、一同は神の救いを受け入れる祈りをささげた。「一人が救われたことで、天に大きな喜びが起こるならば、これだけ多くの人が救われた今、天ではどれだけの喜びが溢れたことでしょう!」
コンサートが幕を閉じた後、救いを受け入れた人々は、隣についたカウンセラーとともにあらためて信仰を告白し、教会につながり、クリスチャンとしての確かな歩みを進めていくことができるよう祈りをささげた。グラハム氏は、「私たちはこの場所に、明日の朝と夜、明後日の夜もいます。イエス・キリストを求めている友人や家族を連れて、またこの場所に戻って来てください」と、すべての人に招きの言葉を投げ掛けた。
「セレブレーションオブラブwithフランクリン・グラハム」は、21日(土)午後5時半開演、22日(日)午後3時開演。入場は無料だが、チケットが必要。3日間の詳細なスケジュール、チケット入手方法などの詳細は、コンサートのウェブサイト。問い合わせは、同実行委員会(03・3518・9669)。