世界的な伝道者ビリー・グラハム氏の後継者であるフランクリン・グラハム氏をメッセンジャーとして招き、約1万4千人を収容する日本武道館(東京都千代田区)で行われる伝道大会「セレブレーションオブラブwithフランクリン・グラハム」が、いよいよ明日に迫った。開催に先立つ19日、同大会会長の村上宣道氏、ジェネラル・マネージャーの石田敏則氏、そしてフランクリン・グラハム氏が都内で会見を開いた。また、音楽を通してクリスチャン文化を紹介し、理解を深めてもらうことを目的としているこの大会には、国内外から多くのクリスチャンアーティストが登場するが、出演者の一人であるゴスペルシンガーのレーナ・マリアさんと、大会を応援するために米国からやってきた元北海道日本ハムファイターズ監督のトレイ・ヒルマン氏も会見に臨み、「クリスチャンの人はこの大会のために祈りましょう。まだ神を知らない人は、ぜひ大会に足を運び、個人的な神との出会いを体験してください」と呼び掛けた。
グラハム氏は、ビリー・グラハム伝道協会(BGEA)とキリスト教人道支援団体「サマリタンズ・パース」両団体の総裁を務めている。村上氏は、BGEAと日本の諸教会の協力体制が60年近くも続く深いものであることに触れ、「BGEAは日本の宣教の歴史を大きく作り変えたとも言うことができるほど、大きな影響と祝福を私たちに与えてくれている。1967年、日本武道館で行われた集会に来られた父であるビリー氏の跡を継いで、子息のフランクリン氏を今回迎えることができるのは、私たちにとって大きな喜びだ」とあいさつした。「まさに愛の祭典、キリストの愛との出会いによって新しい人生が始まるというタイトルで、この大会は進められようとしている。人々は、まことの愛を求めながらどこに本当の愛があるのか分からずに右往左往している現状であると思うが、聖書には、ここに愛があるという明確なメッセージが書かれている。今回、フランクリン氏を通して、まことの愛とは何かがはっきりと打ち出されて、その愛によって新しい人生を踏み出す方々が必ず多く起こされることを期待している」
BGEAは日本の諸教会と協力し、2006年以降に日本各地で6回の集会を開催、約17万人の参加者、1万2千人以上の決心者を起こしてきた。これまでの集会に参加した教会の数は2200にも上り、今大会も、460を超える教会・団体の協力によって開催される。石田氏によると、「会場が東京なので、首都圏の教会の協力によって開催される大会と案内を出したが、福岡、広島など、遠くからもこの大会に出席したい、協力したいとの申し出がなされた」という。石田氏は、「東日本大震災以降、サマリタンズ・パースは、東北の地を応援し続けてくださっている。日本の多くの人々が失望感を負い、本当に変わることのないものを求めている中で、本当に必要なキリストの愛を伝えたいと、そんな思いをもってこの大会は計画された。その思いに応える教会の協力によって、明日からの大会は実現に至った」
「この大会のために何年も期待し祈ってきた」とスピーチを始めたグラハム氏は、協力する日本の教会への心からの感謝を述べ、「私が持って来た一つの目的は、福音を語ること」だと話した。「神は日本を愛している。日本を、すべての人を求めている。他の国も含める全人類が罪を悔い改め、イエス・キリストを救い主として受け入れることを求めている。その目的を果たすために来た」。グラハム氏は、先日97歳の誕生日を迎えた父であるビリー・グラハム氏が、日本の人々の祈りに感謝し、日本のために祈っていることを伝え、また、日本だけでなく、パリ、ロシア、ナイジェリアなど、愛する人を失った悲しみの中にある人々のために共に祈っていることを明かした。急激な社会の変化の中で、災害、貧困など、さまざまな苦しみに直面している人々へも思いを馳せ、「唯一の望みは、神ご自身と、その独り子イエス・キリストだけ。失望からの回復は、神が福音によって人の心を変えることによってなされる」と、福音の持つ力と希望を強調した。
報道陣から、「日本のクリスチャン人口は非常に少ないが、日本に救いがもたらされると信じるか」と質問がなされると、「神が必ずそれをなさると信じている。神が日本人をお造りになり、すべての民族を愛しているように、日本人をも愛していると信じている」とグラハム氏は答えた。「父は小さな集会でイエスを信じたが、神は彼を地の果てにまで救いを伝える器に変えた。この大会を通して、救いの呼び掛けに応じる人々を神が起こしてくださると信じているが、神はその一人一人を通して、不思議な力強い方法で日本に福音を広めてくださると信じ、祈っている」
「セレブレーションオブラブ」は、武道館の3日間だけではない。大会当日が占める割合は全体の10%で、これまでの準備期間45%、そして何より、新しく生まれたクリスチャンへの大会後のフォローアップ45%が非常に重要視されている。グラハム氏は、日本のクリスチャンに向けて、「教会同士が協力していくことはとても大切なことだ」と語り、教団・教派の壁をなくしていくのは、福音を伝えるということにおいてのみ可能であるとした。終戦後も約30年間、上官の命令を守ってフィリピンで軍人として活動を続けた小野田寛郎氏のエピソードを引き合いに「私たちクリスチャンにも『福音を宣べ伝えよ』という命令がイエスから与えられている。上官からの、投降せよという命令を受けて小野田さんは帰国したが、イエスの命令は今も変わっていない」と話し、教会同士が祈り合い、助け合うことを励ました。
出演アーティストの代表として登場したレーナさんは、「今日、私はここに来て幸せです」と日本語であいさつし、「ご存じのように、私は日本が大好きで、おそらく50回以上日本を訪問している。2003年に、47都道府県すべてを訪問し終えた」と終始笑顔を見せた。今大会のテーマ「愛」について触れ、「障がい者である私の人生を強くしたのは『愛』の一言に尽きる。両親からも、成長の過程で出会った周囲の人々からも、神への信仰からも多くの愛を受けてきた。今大会のテーマが愛であることをうれしく思う」と話すとともに、自身の賛美を通して、「私たち一人一人は、何を選び、何を信じるか、自由な選択肢が与えられているが、イエス・キリストしか私たちを心から赦(ゆる)してくれる方はいない。その方を通して、平和と喜び、生きる力が与えられる」というメッセージを伝えたいと語った。
今大会で証しをする機会が与えられたというヒルマン氏も、「私も多くの祝福を神から受けてきたが、一番の恵みは、BGEAと共に大好きな日本で奉仕できること。聖霊によって、日本を愛し続けること、日本人が救われて互いに愛し合うようになるよう祈ることを示されている」と、日本への思いを表現した。ヒルマン氏が一番好きな聖書の言葉は、コリントの信徒への手紙第一13章13節だという。東日本大震災についても、「悲しい出来事だと思う」と心を寄せるとともに、「まことの癒やしを与えられるのは信仰と希望と愛だけ。その中で一番大切なキリストの愛を、互いに助け合うことを通して、人々に届けていくことができる」と話した。「この3日間の大会で、人々の心が開かれ、福音が届くようにと祈っている。日本や世界がどれだけ罪に染まっているかを毎日のニュースから知ることができるが、神がどんな問題をも乗り越えて、愛のうちに導いてくださることを信じ、特別に愛を注いでくださるように祈っていこう」と、力強く呼び掛けた。
「セレブレーションオブラブwithフランクリン・グラハム」は、20日(金)から22日(日)の3日間にわたり、日本武道館で開催される。入場は無料だが、チケットが必要となる。3日間の詳細なスケジュール、チケット入手方法などの詳細は、同大会のウェブサイト。問い合わせは、同実行委員会(03・3518・9669)まで。