マルチメディアを積極的に利用した宣教を展開する7MEDIA(横浜市)が、日本やアジアで活動するミニストリーに呼び掛け、10月21日と22日の両日、横浜情報文化センターで第4回メディアフォーラムを開催した。共に集まって互いの働きを共有し、協力し合うことで、日本にリバイバルをもたらすことを目的にしている。4回目となる今回のテーマは、「Happy Wedding + Happy Family」。日本の家庭に積極的な変革をもたらすことができるようにと、結婚と家庭に焦点を当てたミニストリーの関係者や、キリスト教メディアの関係者が集まった。
21日の午前の部では、結婚と家庭に焦点を当てたミニストリーの関係者がプレゼンテーションを行った。アガペ宣教会の通称で知られるミレニアム・ミニストリーズ・インターナショナル(MMI、大阪市)は、牧師や宣教師が司式するキリスト教式結婚式や児童祝福式など、従来キリスト教会内だけで行われてきたセレモニーを教会外の人々にも提供することを通して、キリストの愛を伝え、生ける神の祝福を広める働きをしている。
ファミリー・フォーラム・ジャパン(横浜市)は、伝統的なキリスト教と聖書の教えに基づき、講演会やセミナーの開催、ビデオや書籍の製作、ラジオ放送などを通して、結婚、子育て、性教育など、家庭の諸問題に取り組み、日本の家庭を支える働きを進めている。
また、英国で始まったキリスト教伝道プログラム「アルファ」では、あらゆる夫婦に向けた「マリッジ・コース」が設けられ、より良い夫婦関係を育むことができるように、7回のセッションが用意されている。今年からは、全国各地で牧師夫妻のためのマリッジ・コースも始めた。牧師夫妻自身の歩みに励ましを与えることで、教会の夫婦に対する働きが祝福されることを目的としているという。
これらのミニストリーがこれからの課題として挙げたのは、ジェンダー問題にどう取り組むか、若い世代の結婚や出産をどう励ますか、他のキリスト教団体とどう協力していくか、というもの。その中で、若者とのつながりを積極的に創出できるメディアの有効的な活用に注目が集まり、午後の部に移った。
午後の部では、メディアを用いた宣教活動を行うミニストリーが、実際に若者をターゲットに展開している活動を報告した。宣教・教育専門放送局として、24時間365日休むことなく衛星放送とインターネット動画配信を行っているCGNTV(東京都新宿区)の番組ディレクターは、10月に始まった新番組「聖書の村」を紹介した。少子高齢化が進む日本の教会の一助になるようにと、スタッフが不在でも日曜学校ができるように工夫していると、番組に込めた思いや製作過程について話した。
また、世界160カ国で放送し、海外で広く知られているラジオ伝道団体のトランス・ワールド・ラジオ(TWR)は、日本でも昨年から北海道、東北、沖縄で放送を開始したことを報告した。TWRは日本で活動する上で、「科学と聖書」「ユダヤ文化と聖書」「人間関係と聖書」の3つの軸を大切にしているとし、特に「人間関係と聖書」では、結婚、子育て(ホームスクーリング)、終活の人生における3つのステージに焦点を当てていくという。プレゼンテーションを行った関智征牧師は、「日本で活動を始めたばかりで、情報が足りていない」と話し、「他の団体と協力しつつ、キリストの力を伝えるメディアとして福音を広める働きに努めていきたい」と語った。
日本で民間放送が可能になった1950年の翌年から活動している太平洋放送協会(PBA)は、日本で最も長く続いているキリスト教のラジオ番組「世の光」やテレビ番組「ライフ・ライン」で知られているが、この日は、実際に放送を聞いたり、見たりした人の人生が変えられた力強い証しを分かち合った。一方、未放送地域が依然として残っている現状や、多様化するメディアをどのように利用して人々を教会につなげていくかといった課題も共有した。
この1年以内のPBAの変化としては、新しくスタートした2つの番組を紹介した。特に、9月に始まった「What The Pastors!!」は、ウェブ限定の牧師によるトークバラエティーで、PBAにとってはラジオ、テレビ以外での初めての本格的な取り組みだ。これまでは、ノンクリスチャンを教会に導くことに主眼を置いていたが、教会に通う若いクリスチャンをターゲットにした番組という点でも新しい試みだという。製作スタッフは、「教会に元気がなくては放送も生きたものにならない。この番組を通して教会に励ましを与えたい」と心意気を示した。
「God's Word Every Child」を合い言葉に、世界の全ての子どもと青年に神の言葉を提供し、それによって若い世代の人生が変えられることを目的に活動しているワンホープ(東京都豊島区)は、無料でダウンロードできる子ども聖書アプリ「The Bible App FOR KIDS」を紹介した。会場に集まっているほぼ全員がダウンロード済みという人気アプリで、日本語バージョンは現在製作中だが、世界では800万人以上の人が子どもたちへの伝道の現場で用いていることを紹介した。
このフォーラムを主催した7MEDIAのCEOで宣教師のアンディ・ゲーム氏は最後に、「子どもたちがメディアに触れる機会が多くなった現代は、子どもたちにとって良くないコンテンツにも気軽にアクセスできる時代でもある。だからこそ、互いに協力し合うことによって、子どもたちにとってより良いコンテンツを提供し、親や教会スタッフとの関係の中で日本の若い世代に福音を広めよう」と呼び掛けた。また、メディアを有効に用いるために、「オンライン・コネクション(インターネット上のつながり)と、オフライン・リレーションシップ(実社会での関係)を大事にしつつ活動を進めていきたい」と話した。