【CJC=東京】家庭問題をテーマにバチカン(ローマ教皇庁)で今月4日に開幕した世界代表司教会議(シノドス)は24日、翌日の閉会ミサを控え、最後の全体会議が行われた。
今回のシノドスは、「開かれた教会」を掲げる教皇フランシスコの意向で開催された。
午前中の会議では、今シノドスにおける司教たちの意見・提案をまとめた最終文書となる「提言書」が読み上げられた。この提言書は、最終文書起草委員会によって段階的に準備され、前日、同委員会の全員一致により承認されたもの。
「提言書」には94項目が盛り込まれた。シノドスでは、教義の厳格適用を求める保守派と、現実的な対応を主張する改革派との対立が浮上したが、再婚信徒については、教会から排除せず、受け入れるよう、改革派の意見が盛り込まれた。
再婚信徒が「破門されたと感じてはならない」「(教会に)より統合されなければならない」と強調され、再婚信徒に聖体拝領を認める条件は明記していないが、離婚理由など個々のケースに応じ、具体的な対応を考える方向を打ち出した。
同性愛者については「不当な差別的烙印を受けることを避け、尊重されなければならない」としながらも、同性婚の合法化を、カトリックの結婚、家族と「同一視または類似のものとみなす根拠は存在しない」と、同性婚を認めない立場を貫いた。
同じ午前の会議で、「中東・アフリカ・ウクライナの状況に対する共同声明」も発表された。
教皇はあいさつで、カトリック教会内の意見対立を認めながらも、現代社会において家族が抱える問題に教会が「見て見ぬふりをせずに」取り組むよう促した。
また、「教会の第一の責務は非難や破門を言い渡すことではない」とし、さらに司教会議では「教会の教義の裏に隠れようとする閉ざされた心がむき出しになった」と保守派の言動を批判した。
シノドスは25日のミサで正式に閉幕した。
今回の提言を踏まえ、教皇フランシスコは「家族」に関する文書をまとめる。教皇はシノドスの提言に従う必要はないが、シノドスで繰り返し示された方針転換拒否の動きからも、教義の大幅変更は難しくなったと見られる。