シンガポールにあるシティー・ハーベスト・チャーチ(CHC)の創設者であり主任牧師のコン・ヒー被告(51)と、CHCの他の指導者5人が21日、教会への献金約5000万シンガポールドル(約43億4千万円)を着服したとして有罪判決を受けた。
ニュースサイト「The Straits Times」によると、有罪判決を受けたのは、コン被告、副主任牧師のタン・イェ・ペン被告(42)、 元資金管理者のチュウ・エン・ハン被告(55)、財政部主任のセリナ・ウィー・ジェック・イン被告(38)とシャロン・タン被告(40)、元財政委員のラム・レン・ハング被告(47)の6人。それぞれ、コン被告の妻であるスン・ホー氏(43)のポップスターとしてのキャリア形成のためと偽り、教会への献金約2400万シンガポールドル(約20億8千万円)を横領し、加えて旅費などで約2600万シンガポールドル(約22億6千万円)、計約5000万シンガポールドル(約43億4千万円)を着服したとして有罪判決を受けた。
シー・キウン判事は、「6人全員が加担し、それぞれが機械の歯車のように機能し、役割を果たした」と述べた。
CHCの指導者ら6人は今回、ホー氏に資金提供するマネジメント会社「エクストロン・プロダクション」と架空の投資契約を結んだとして有罪となった。
シー判事は、「被告らは、エクストロン・プロダクション社の契約が実質的な投資だと考えていたと主張した。彼らは、エクストロン・プロダクション社の契約はCHCに財政的な利益をもたらすと考えていた。しかし私の評価では、検察は彼らがそのような考えを持っていなかったということを合理的な疑いを超えて証明したと考えられる」と指摘した。
CHCの指導者6人の弁護人は、エクストロン・プロダクション社はホー氏のマネジメントを行う合法な企業だと主張したが、検察は、CHCの指導者がエクストロン・プロダクション社を運営し、ポップ歌手としてのホー氏のキャリアを築くための資金として流用する導線として機能していたという証拠を提示した。
CHCの指導者たちは、この判決によって最長禁固20年の刑に処せられる可能性がある。収監の日はまだ発表されていない。
ホー氏自身はこの問題で起訴されていないが、CHCの理事会を代表して声明を発表し、コン被告と他の指導者がこの結果に「失望している」と述べた。
「過去3年間の裁判全体と2年間の捜査の間、私たちは神に信頼を置き、どんな結果になろうとも、神が私たちに良いことをなさるためにこの結果を用いると信じてきました(ローマ8:28)。長引く裁判の期間中は、6人にとってだけではなく、その家族、友人、また私たち会衆皆にとって、極度に困難な時でした」とホー氏は述べた。
ホー氏は、支持者からの「非常に大きな愛と支援」に感謝し、有罪判決を受けたCHCの指導者たちのために祈り続けるよう求めた。
コン被告は、CHCは妻ホー氏の音楽を通して福音を世界中の人々に届けることを目的としたプロジェクト「クロスオーバー」を通してのみホー氏を支援していたと主張していた。
しかし、シー判事は、「『クロスオーバー』の目に見える成功は誇張されている」とし、教会の資金のうち何百万ドルもがエクストロン・プロダクション社に流れ、ホー氏が米国で20万部以上アルバムを売ることができるという「非現実的なプロジェクト」の下に資金が動かされていたと主張した。
シー判事は、「永続的な損失を意図せず、疑いのない信頼と信用をコン被告に寄せていたこと、また『クロスオーバー』が成功するだろうという自信から引き起こされたことから、6人が皆、不正な損失を引き起こそうとして不誠実に行動したわけではないということは議論に値するかもしれない」と述べた。しかし、「故に彼らがそうではないと知ったとき、彼らはCHCの資金から金銭を一時的に使うことは、道徳的にも法的にも差し支えないことだという確信を抱いていた」と指摘した。
コン被告とホー氏は1989年にCHCを創設。CHCは、現在ではシンガポール最大のメガチャーチの一つと成長し、2万5千人近い会員数を誇る。