来年神戸で開催される第6回日本伝道会議(JCE6)を見据え、関西の協力伝道について考える「関西宣教フォーラム in 大阪2015」(日本福音同盟=JEA宣教委員会、同実行委員会主催)が9月28、29の両日、大阪市中央区の大阪クリスチャンセンターで開かれ、教職・信徒ら約220人が参加した。実行委員長の清水昭三氏(福音交友会高石聖書教会牧師)は、「(教団教派の壁によって)日本のプロテスタント教会がばらばら状態になっていないか」と指摘し、「キリストの教会は全て、主からの使命として世界宣教という大きなビジョンが与えられており、一体性を確認してこれに取り組んでいく必要がある」と協力伝道の重要性を強調した。
開会礼拝で堀内顕氏(グレース宣教会代表牧師)は、「どれだけ隣人を熱心に愛する現実的な思いを持って、今を使命に生きていますか」と述べ、神の大使としてこの世に遣わされたキリスト者として、どれだけ愛をもって社会を知ろうとしているか、同じ地域にある教会のキリスト者とどれだけ親密な交わりを持ち、実際的な愛を交換し合っているかと問い掛けた。
続くセッションでは、清水氏が「関西での協力伝道の今まで」、松沢力男氏(日本ホーリネス教団大阪栄光キリスト教会牧師)が「関西の協力伝道のこれから」と題して発題した。
清水氏は、関西における協力伝道の50年を振り返った上で、近年、伝道協力をしない教会が増えていることを問題点として指摘した。「自分たちの教会が成長すれば、他の教会との関わりはどうでもいいというのが、果たして主の教会の姿なのか」と述べ、「教会論を再認識する必要がある」と述べた。
また、1980年のビリー・グラハム大会から10年ごとに関西で宣教大会が開かれていることについて「これは関西の教会の主からの財産」と高く評価し、「確かな『宣教のうねり』が、大きなうねりになっていくように」と継続を訴えた。
さらに、伝道協力会の集会が多過ぎて、地域教会に混乱を与えていないかと指摘し、関西にある伝道協力会が年に一度集まる連絡会の設置を提案した。
松沢氏は、協力伝道における具体的なビジョンとして、効果的な宣教戦略を練る「宣教センター」の設立や、聖書に関する展示があり、聖書のメッセージを毎日聞ける「バイブル館」の設立を提言した。「今こそ聖霊が著しく働くリバイバルが起ころうとしている時」と強調し、「ビジョンが与えられ、それに祈りと信仰とをもって一致し、喜んで犠牲を払って取り組み、栄光を主に帰することが大切」と訴えた。
分科会では、▽ファミリーミニストリー(丸山園子・日本同盟基督教団習志野台キリスト教会牧師=発題者、以下同じ)、▽21世紀の宣教(青木勝・イムマヌエル綜合伝道団中目黒キリスト教会会員、阿部信夫・ECC相模原グレースチャペル牧師、松崎ひかり・アンテオケ宣教会主事)、▽福祉と伝道(村上なをみ・日本ホーリネス教団鶴見栄光キリスト教会牧師)、▽スポーツミッション(蔦田聡毅=つただ・さとき=・イムマヌエル綜合伝道団堺キリスト教会牧師)、▽キッズ&ファミリーサポートミッション(山下亘・日本同盟基督教団箕面=みのお=めぐみ聖書教会牧師)、▽信徒の役割(高田義三・CCNZ日本大阪教会牧師)、▽確実に青年宣教が進むために(西村敬憲・日本同盟基督教団西大寺キリスト教会牧師)の7つのテーマについて参加者が議論を深めた。全体発表では、川上直哉・東北ヘルプ事務局長が「『21世紀の宣教』と『福島 / フクシマの現場』」と題して被災地での取り組みを報告した。
1日目夜には宣教大会が行われ、蔦田氏がメッセージを伝えた。2日目朝の伝道セミナーでは、鎌野善三氏(関西聖書神学校校長)がクリストファー・ライトの『神の宣教』、デイヴィッド・ボッシュの『宣教のパラダイム転換』の内容をもとに、「聖書から見る伝道、牧師のあり方」と題して講演した。続くセッションでは、来年9月27日から30日に神戸コンベンションセンター(神戸市)で開催されるJCE6について、実行委員らが開催理念やプロジェクトの概要を説明し、参加者に協力を求めた。
閉会礼拝でJEA理事長の中台孝雄氏(日本長老教会西船橋キリスト教会牧師)は、「最終的にはキリスト・イエスの日に神様のご計画が完成する」と主にある希望を説き、「そのような思いをもって、地上での、やがて次の世代に託していく働きを進めていきたい」と語った。