クリスチャンの国会議員らが参加し、月に1度のペースで開かれている国政報告会が9月25日、参議院議員会館で開かれた。この報告会は、1960年に当時衆議院議員であったクリスチャンの故河上丈太郎氏と故長谷川保氏が中心となって始められた。党派を超えて、国会の開催中に当時は毎週欠かさず行われ、2001年まで続いた。その後、途絶えたままになっていたが、現代の日本や世界の状況を思い再開され、今は毎月第四金曜日に行われている。
現役議員ではこれまでに、石破茂(自民)、北村誠吾(自民)、羽田雄一郎(民主)、山口壮(つよし)(自民)、藤田幸久(民主)、糸数慶子(無所属)、牧山弘恵(民主)の各氏らが参加。毎月、クリスチャンの国会議員と牧師・信徒らが、国家のため、また世界のために祈りをささげている。
この日、あいさつに訪れたのは、民主党の牧山参院議員。国会内外で大混乱を招いた安保関連法案が参院で可決・成立した直後の報告会とあって、祈りの課題のトップにもこの話題が取り上げられた。
牧山議員はあいさつの冒頭、先日、安保法案が可決された参院平和安全法制特別委員会の様子を説明した。大混乱が見込まれた同特別委では、「乱闘」が予想されていた。与野党の男性議員からは、「女性議員は、けがをするから前に行かないように」と注意を受けていたが、「私には、息子も娘もいます。母親として、私は何とかこの法案を止めなければと思った。怖かったし、格好も悪い。でも、母親としての責任がある」と、男性議員らがもめ合う中に入っていったという。しかし、鴻池祥肇(こうのいけ・よしただ)委員長が委員長席に着席した後、「委員会開始」の発言もなく、聞こえたのは与野党議員の怒号だけだったという。速記録に「聴取不能」と記されていた通り、「ただ委員長が座って、出て行っただけ」と牧山議員は説明した。
「先進国の日本で、これまでの憲法の解釈を変えるような大事な審議がこのような形で終わるはずがない。武器輸出についても、十分な話し合いがされていない。何を輸出することができて、何を輸出できないのか。自衛隊の派遣はどこまで許されて、どこから許されないのかなど、政府の言うことは一転二転している。日本はプロセスを大切にしてきた国。もし、この法案が正しいというのなら、もっと国民に説明をするべき。そのプロセスなしに可決してしまった今国会は異常」と話した。最後に「祈りと共に行動を」と付け加え、参加者と共に祈りをささげた。
この日のメッセージは、マタイによる福音書5章9節から、インターナショナルVIPクラブ代表役員の市村和夫氏が取り次いだ。「『平和をつくる者は幸いです』とあるが、『平和』は黙っているだけでは、つくれないのではないか。日々祈ること、そしてまずは周囲の人々と仲良くすることが大切だ。そもそも『軍事力』が必要なのは、相手が攻めてくることが前提になっている。相手が攻めてくるような状況を作り出さないよう、関係を保つことが必要」と語り、平和をつくる「あいうえお」を話した。
「あ」はコミュニケーションの基本でもある「あいさつ」、「い」は他国のため、また日本のための「祈り」、「う」は内面の「美しさ」、「え」は喜びを表現する「笑顔」、「お」は「思いやり」を込めた「おもてなし」だという。また、日本のあるべき姿として「サーバントリーダー」という言葉を用いて表現した。「日本は、アジア各国、世界各国から、へりくだって奉仕するリーダーである『サーバントリーダー』を任される国になるべきだ」と話した。
その後、8組ほどの小さなグループに別れ、現政府や東日本大震災の復興のため、また、いじめや教育、自然災害などさまざまな国内の事柄について、さらに中東シリアの内戦や難民問題、9月中旬にチリで発生した大地震など海外の事柄について、そして国政を任されている国会議員と全ての政党のために祈りをささげた。