【CJC=東京】教皇ベネディクト16世は、先月30日(使徒聖アンデレの祝日)、回勅「スペ・サルヴィ」を発布した。
「スペ・サルヴィ(意味:希望によって救われた)」は06年1月に発表された同教皇の最初の回勅「デウス・カリタス・エスト(邦訳:神は愛)」に続くもの。
バチカン放送(日本語電子版)によると、ローマの信徒への手紙8章24節「私たちは希望によって救われているのです(スペ・サルヴィ・ファクティ・スームス)」という使徒パウロの言葉で始まるこの回勅を通し、教皇はキリスト教的希望についての教えを示した。
全文50章、内容は「序章」「信仰とは希望である」「新約聖書と初代教会における信仰に基づいた希望の概念」「永遠のいのちとは?」「キリスト者の希望は個人主義的か?」「現代におけるキリスト教信仰=希望の変化」「キリスト教的希望の真の姿」「希望を学び鍛える場」「希望の星、マリア」の各部に分かれる。
キリスト教信仰にとっての贖いとは、私たちが現実に立ち向かえるだけの信頼に値する希望を与えられたという意味においてもたらされるものであり、それゆえキリスト者の特徴は「未来に希望を持ち…彼らの人生は虚無のうちに終わらないと知っている」ことであると教皇は指摘する。
一方で、現代の信仰の危機は、キリスト教的希望の危機であると見る教皇は、現代の人々は失われた楽園を信仰によってではなく科学技術の進歩によって取り戻そうとしているとし、現代人の希望は「発展における信仰」「理性の王国」に基づくものと指摘する。
教皇は、「人は科学を通して贖われるのでなく、愛を通して贖われる」のであり、「あらゆる失望に打ち勝つ人間の偉大な希望は、私たちを愛され、最後まで愛し抜かれる神だけである」と強調している。