韓国ソウルにあるプロテスタント系の大学である延世(ヨンセ)大学が、創造論を基礎に聖書の内容を科学的に証明しようとする創造科学の授業を、新学期が始まる9月から開講する。授業を行うのは、同大工科学部電気電子工学科のチェ・ユンシク教授で、授業は学部1年生を対象にした1単位のもの。韓国のハンギョレ新聞(日本語電子版)が12日、伝えた。
創造論は、聖書の創造に関する記述通り、神が天地万物を創造したと考える立場で、神の介入なしに、突然変異や自然淘汰などで生物が進化したと考える進化論とは一般に対峙する立場を取る。創造科学は、創造論を科学的に証明しようとする試み。
同紙によると、同大の学生からは、創造科学を教える授業に対して批判的な声が上がっているという。学生からの批判を受けてチェ教授は10日、「創造論が正しく、無条件に進化論が誤りだという趣旨ではないが、当惑している」と述べ、「キリスト教徒として工学を学び教える立場で、信仰と科学の間の悩みを感じてきた。このような悩みを学生と話してみようということであり、創造科学を育成しようというものでは全くない」と説明している。
韓国創造科学会によると、創造科学に関連する授業を開いている大学は現在、約10あるという。
同紙は、「定説を否定するニセ学問を一つの考えとしてでなく一定の理論かのごとく教えようとするのは、教育者の義務に反する」と強く批判するソウル大学のチャン・デイク自由専攻学部教授の声を伝える一方、「神も存在するが、進化という方法で創造の過程があった」という創造論と進化論の調和を試みようとする立場もあると指摘し、極端な立場だけが過剰に強調されるのは問題だと話す神学者のヤン・ヒソン氏(チョンオラム・アカデミー代表)の声などを伝えている。