【CJC=東京】カトリック教会の枢機卿会議が23日、バチカン(ローマ教皇庁)で開幕した。教皇ベネディクト十六世と枢機卿団は同日、考察と祈りの集いを行なった。
教皇は24日、シノドスホールで3時課の祈りと共に会議を始め、考察のテーマとして「エキュメニカル(教会一致)対話」を示した。キリスト教一致推進評議会議長のウォルター・カスパー枢機卿は考察の導入として、今日のエキュメニカル対話の現状の大筋を説明した。これに続いて枢機卿17人が、社会・福祉分野におけるキリスト者の共通の取り組み、変容する現代社会における倫理価値の保護、記憶の浄化、他のキリスト者に対する心遣いを伴うコミュニケーションのあり方、などについて意見を述べた。
また、エキュメニカルな発展の可能性についての考察も提言された。こうした討議の流れを背景に、最近の重要な出来事として、ルーマニアのシビウでのエキュメニカル会議や、ナポリでの諸宗教の集い、ロシア正教会のアレクシー二世総主教のパリ訪問などが挙げられ、さらに、ユダヤ教をはじめ諸宗教との対話関係との比較も行なわれた。
会議には、教皇と143人の枢機卿が参加。24日就任式に臨む23人の新枢機卿も加わった。
教皇は24日朝、枢機卿会議の中で新枢機卿の任命式を行った。聖書朗読の後の説教で教皇は、キリストに倣い、神と教会と人々へのために必要ならば命を差し出すことも恐れない、無償の「愛の奉仕者」となるよう新枢機卿らを励ました。
カスパー枢機卿は会議後、東方正教会側が10月にイタリア・ラベンナで開かれたカトリック教会との協議で「ローマ司教(ローマ教皇)の首位性」を認める文書に合意したことを挙げ、「重要な進展があった」と語った。同枢機卿は正教会との対話について「道のりは長いが、よい一歩だった」と話した。
新枢機卿の任命によって、現在の全枢機卿数は201人、そのうち教皇選挙の投票権を持つ80歳未満の枢機卿は120人となった。