フィリピンから初来日していた、米CNNヒーロー・オブ・ザ・イヤー受賞者のエフレン・ペニャフロリダ氏(34)が12日、ウェスレアン・ホーリネス教団淀橋教会(東京都新宿区)のアガペ広場で開かれた「ホープ・フォー・リビングの集い」に出席し、スラム街で生まれ育った自身の経験を証しするとともに、フィリピンで行っている手押し車による移動教室の働きなどを語った。
5日から9日間の日程で来日したペニャフロリダ氏は、東京都内の教会などで講演し、NHKの番組にも出演。来日スケジュール最後の集会となったこの日は、家が貧しく6年間同じ靴を履いて学校に通った幼少期の経験や、メンターとなるある牧師との出会いを通して、建築家への夢から、国を建てる人材を育てる教育者へと夢が変わっていったことなどを証しした。また、ペニャフロリダ氏の働きを通して救われたジェレミー・クエバスさん(16)もステージに立ち、さまざまな境遇にありながらも変えられていった自身の人生を語った。
ペニャフロリダ氏によると、フィリピンでは10代でも子どもを産み、家族を持つケースが少なくない。また、貧しく教育を受けることのできない子どもたちは、ギャングに入ったり、暴力や麻薬などの影響を受けたりしまうことが多いという。そうした子どもたちに、学ぶことの大切さを教えるため、本やペンなどを手押し車に乗せて移動教室を開いているのが、ペニャフロリダ氏が設立した慈善団体「ダイナミック・ティーン・カンパニー」(DTC)の働き。
フィリピン教育省は今年から、ストリートチルドレン救済のためDTCと協力して、100の手押し車による移動教室を展開。DTCは昨年、道徳教材として日本の新生宣教団が制作しているマンガ聖書を一部で取り入れており、新生宣教団が新たにマンガ聖書やスタディーガイドを提供することで、今年は8月から12月までに、首都マニラ周辺で路上生活をする子どもたち約8000人に教育を受ける機会を提供する計画だ。
新生宣教団は、「今回は、マニラ周辺のストリートチルドレンに対してのアプローチですが、この最初のアプローチが成功し、フィリピン全体の子どもたちに御言葉を送ることができればと願っています」と話している。
一方、この日は音楽ゲストとして、堀井栄治さん・祥子さん夫妻によるデュオ「コパン」が出演。「Better Than 1」や「新しいメロディ」「世界が笑顔に」といったオリジナル曲を含む10曲を、ピアニカやギターなどで爽やかに奏で観客を和ませた。通りに面した広場で集会が開かれたこともあり、ペニャフロリダ氏の話やコパンの歌に足を止める人の姿も多く、この日は約150人が集まった。