カトリック教会、正教会双方の関係修復を目指し、先月8〜15日まで伊ラヴェンナで行われたカトリック教会・正教会神学対話合同委員会の第10回全体会議によって、古代のコンスタンチノープル、アレキサンドリア、アンテオケ、エルサレムなど世界の各総大司教の中で、ローマ司教(教皇)が「プロトス」(最初の者)とみなされるという最終文書が発表された。バチカン放送が15日伝えた。
会議は、「教会の秘跡的本質の教会学的・教会法的帰結」というテーマの下、カトリック教会、正教会双方の関係者が参加。教皇庁キリスト教一致推進評議会より、46章から成る今回の最終文書が発表された。同放送は、ローマ司教(教皇)が「プロトス」とみなされると認められた一方、「その特権については聖書的・神学的観点からいまだ意見の相違があることが明らかにされている」と伝えている。
同放送によれば、教皇庁キリスト教一致推進評議会議長のウォルター・カスパー枢機卿は、この合同会議が地区・地方教会と共に、普遍の教会の存在を認めていることは特筆すべきこととする一方、ローマの司教の役割については今回触れることなく、未来の考察課題として提示されていることを指摘、対話の道のりはこれからも長く困難であるが、これは最初の重要な一歩であると述べた。
また、CJC通信によれば、正教会モスクワ総主教座の代表イラリオン主教は、正教会内の裁知権の範囲をめぐる対立から、会議の始めに退席しており、最終文書には同総主教座の見解が反映されていないなどと指摘している。
カトリック教会と正教会の分裂は、1054年にローマ教皇レオ9世と、コンスタンティノポリス総主教ミカエル1世ケルラリオスによる相互破門によって決定的なったとされている。現在、双方による対話が行われる一方、多くの課題が残されているのが現状と言えそうだ。