過激派組織「イスラム国」(IS)が、イスラム教の断食月「ラマダン」の期間中に断食ができなかった2人の少年を十字架につけて殺害した。
シリア人権監視団(SOHR)が22日に明らかにしたところによると、シリア東部のデリゾール県マヤディーンで、18歳未満の少年2人が、その首に「犯罪」を示すプラカードをかけられてさらし者にされた。
SOHRの創立者ラミ・アブデル・ラーマン氏は、「彼らは食べているところをとらえられたようです」と、AFP通信に語った。
イスラム教徒は、ラマダンの期間中、日の出から日没までの間に、食べたり、飲んだり、また性交渉などをしてはならないと定められているが、乳幼児や妊婦、病人、老人、旅行者などにはこのルールは適用されない。
ISはイラクとシリアの広範囲を掌握し、これまでも度々、子どもたちを斬首したり、十字架につけたりして、殺害していると報じられている。
国連子どもの権利委員会(CRC)は2月、ISの戦闘員が行った恐ろしい虐待について詳細に報告した。
同委員会の専門家レナート・ウィンター氏は、「子どもたち、特に精神的な困難の中にある子どもたち、また恐らく意味を理解することなく自爆テロ要員として利用されている子どもたちについての報告があります」「恐らく8歳未満であろう、幼い子どもたちが少年兵となるために訓練を受けている様子を撮影した動画がインターネット上に投稿されています」などと報告していた。
ISは、イラクやシリアで少数派であるキリスト教徒やヤジディ教徒、またイスラム教徒であっても標的とすることがある。少年たちは暴力の標的にされたり殺されたりする一方、多くの少女たちは性奴隷として市場で売られているという。
ISは、戦闘服に身を包んだ幼い男の子に、戦闘員が武器の使い方を教えたり軍事教練を行ったりしている様子を収めたプロパガンダ動画を数本公開している。6月上旬には、幼い男の子たちが自爆テロのための訓練をしている様子や、やがて来る死を「偉大な栄誉」と叫ぶ様子を収めた14分間の動画を公開した。
少年たちはこれらの訓練キャンプでISのイデオロギーを刷り込まれ、後には戦闘に駆り出される。
「ISの狂信的行為を子どもに刷り込むことは、子どもが最も刷り込みやすいというだけではなく、新しい世代のIS信者、そして究極的には戦闘員となる人口を増やす結果をもたらします。これがカリフ制を敷く方法なのです」と、米ワシントンに拠点を置く非営利調査グループ「テロ捜査プロジェクト」(IPT)事務局長のスティーブン・エマーソン氏は語った。
「彼らの目的はイスラム社会を再建することです。ごみの収集からマドラサ(イスラム教神学校)での教育まで、全ての局面を網羅し、世界を包括したイスラム教に基づく社会システムを打ち立てることが目的なのです」とエマーソン氏は説明している。