日本人で5人目の枢機卿であった濱尾文郎・前カトリック横浜教区長が8日午後6時57分、肺がんのため東京都江東区の癌研究会有明病院で死去した。77歳、東京都出身。
通夜は11日午後6時から、葬儀ミサ・告別式は12日正午から、東京都文京区関口3の16の15、東京カテドラル聖マリア大聖堂で行われる。喪主は同教区の梅村昌弘司教。
濱尾枢機卿の帰天により、存命の邦人枢機卿は日本人で4人目の枢機卿に任命された白柳誠一枢機卿のみとなった。日本人ではこれまで、1960年に土井辰雄東京大司教、1973年に田口芳五郎大阪大司教、1979年に里脇浅次郎長崎大司教が枢機卿に任命されている。
濱尾枢機卿は1957年に司祭に叙階され、東京教区補佐司教、横浜教区司教を経て、98年にはバチカンの閣僚に当たる移住・移動者司牧評議会議長に就任。同年大司教となり、03年に前ローマ教皇のヨハネ・パウロ2世から日本人で歴代5人目の枢機卿に任命された。05年には新教皇選出会議「コンクラーベ」にも出席し、ベネディクト16世・現ローマ教皇の選出にも立ち会った。
華族の出身で、曽祖父は東京大学第二代総長の加藤弘之氏。父は推理作家としても知られる濱尾四郎氏で、叔父に戦前の日本を代表する喜劇役者であった古川緑波がいる。