死刑執行停止を求める決議案が今月初め、欧州連合(EU)を中心とする70ヶ国以上が連名する形で国連総会に提出された。決議案は、死刑制度を維持している各加盟国に対して、制度自体の廃止を視野に、死刑執行の一時停止などを求めている。国際人権団体のアムネスティー・インターナショナルはこれを受けて、決議案を歓迎すると共に、趣旨を損なうような修正が加えられないよう加盟各国に求めている。
決議案は、死刑執行一時停止の他、死刑適用の漸進的な削減、死刑囚の人権保護に対する尊重、死刑廃止国の制度再導入の停止などを求めている。今月中にも、国連総会の人権問題を扱う第3委員会で採決される見通しとなっている。
連名国は、賛成多数での採択に自信をみせているが、米国など死刑制度を設けている国は同案に反対の立場を取っている。時事通信が国連外交筋の話として伝えたところによれば、日本は「投票行動は未定」だという。
アムネスティ国連代表のボンヌ・テルリンゲン氏は、多くの国が決議案の共同提案国になったことを「心強く思っている」と歓迎し、「死刑という残虐で非人間的な刑罰を廃止することに多くの地域の人びとが賛成していることをはっきり示している」と語った。
アムネスティによれば、法律上死刑を廃止している国は100ヶ国に上り、10年以上死刑を執行していない国などを事実上死刑を廃止している国として含めると、現在は133ヶ国で死刑が廃止されているという。
日本では今年8月に3人の死刑が執行された。日本キリスト教協議会(NCC)は、死刑囚の人権について言及し、死刑執行に反対する声明を発表。アムネスティ・インターナショナル日本も、8月の死刑執行に強く抗議する声明を発表した。