キリスト教が禁止されていた江戸時代に、当時の信者らが隠れて口伝えで伝承してきた祈り「オラショ」が4日、長崎県平戸市の生月町博物館・島の館で信者5人らによって披露された。地元の西日本新聞が伝えた。
同紙によれば、昭和初期の状況を再現した同館内の部屋で、和服姿の男性信者5人が、「一通り(ひととおり)」と呼ばれるオラショを祈り上げた。「一通り」は「一座(ひとざ)」とも呼ばれ、ゆっくりとした口調で複数のオラショを詠み、行事などで用いられるという。
ラテン語で「祈り」を意味する「オラショ」は、祈りをささげることも禁じられていた時代、潜伏していたキリシタンが、布団の中などで隠れながら伝えてきたと言われている。生月町博物館によると、同町だけでも約500人が当時からの「隠れキリシタン」の姿を守り続けているという。