日本国際飢餓対策機構(大阪府八尾市)は、サイクロンで被災した南太平洋のバヌアツを支援しようと、3月27日から被災者のための緊急支援募金を呼び掛けている。
「3月13日のバヌアツ共和国を襲った大型サイクロンによる被災からまもなく3週間をむかえます。国連によると現地では全人口の半数以上の16万6000人が避難所などに身を寄せており、壊滅的被害でインフラが機能しない中、深刻な物不足が続いています。そこで当機構は緊急支援として、パンの缶詰1500缶(約3000食分)と停電用ローソク約4500個、タオルを現地に届ける手続きを進めています」と同機構は説明している。
同機構によると、今回現地に届ける災害用のパンの缶詰「救缶鳥」は、同機構の協力企業であるパン・アキモト(栃木県那須塩原市)が、災害備蓄用として同社からパンの缶詰を購入した会社などに支援を呼び掛けて集まったものだという。
またローソクは、大手のカメヤマローソク(大阪市)の三重工場から無償で提供されるもので、長時間燃焼(約35時間)タイプとなっているという。タオルは未使用のもので八尾市の中学校からの寄贈。
同機構は、この物資を現地まで空輸し、救援活動中の海外パートナーである国際飢餓対策機構ニュージーランド(Food For Hungry International-NZ:FHI−NZ)や地元の支援グループと協力しながら、支援の手が行き届かない貧困世帯などに優先的に配布していく。特に現地では風速70メートルを超えるサイクロンで送電設備が壊れたために停電が続いており、被災者からローソクが欲しいとの要望が出ているという。
同機構はまた、バヌアツで救援活動中のFHI−NZからの情報をウェブサイトで伝えている。それには、同国エファテ島にある首都ポートビラ近郊のブラックサンドといわれるスラム街で暮らす人々の被災状況や、さらにエタス地区の養鶏を営む家族の被災状況が含まれている。
同機構は3月21日の時点での被害状況について、「これまでにバヌアツを構成する80以上の島のうち22島がサイクロンの被害を受けています。死者は17人、被害者総数は全人口約25万人の半分以上の16万6000人。被害状況の確認が進めめばさらに拡大する可能性もあります。一時避難を必要としている住民は約6万5000人、全国で学校500校が被害を受け、生徒7万人に影響が及んでいます」と伝えている。
また、「島々の住民の大半は自給自足での生活をしていますが、国連人道問題調整事務所(OCHA)によると、特に作物のココナツとバナナの農園の被害は壊滅的で、長期的な悪影響が予想されるとのことです。また、家畜も多数失われたことも、深刻な食料問題につながるとの懸念もあります。首都ポートビラがあるエファテ島では、90%の建物が損壊または全壊で電気、交通網が遮断され、食料や飲料水の不足が続いています」と伝えている。
なお、バヌアツは大小85の島々からなり、面積は新潟県と同程度の1万2190平方メートル。人口は約25万人(2013年統計)。首都ポートビラのあるエファテ島は、バヌアツで3番目の面積で人口約5万人。主な産業は農業と観光だ。
募金先は、「郵便振替00170−9−68590 一般財団法人日本国際飢餓対策機構」。記入欄に必ず「バヌアツサイクロン」と明記すること。クレジット・コンビニ決済などはこちらから。
また、最新の更新情報(英語)は FHI−NZのフェイスブックで見ることができる。
なお、OCHAは、3月22日から27日まで毎日1回ずつ、合計6回のバヌアツの状況に関する報告書を公式サイトで発表。その後、3月30日に発表した最新の報告書によると、バヌアツ政府は避難所として使われている学校を30日に全国で再開し、同政府の教育訓練省は、マランパ州、トルバ州、タフェア州、シェファ州で268の教室の屋根を覆うためのシートを求めてきたという。また、11万人分の野菜の種の配布がバヌアツ全土で行われたという。