米サンフランシスコ最大の福音派教会であるシティー・チャーチの役員会は、生涯独身でいようとしない、あるいはそれができない、LGBTなどの性的少数者の人々が同教会の会員となることを認めると発表した。
「私たちの(これまでの性的少数者に対する)牧会方針である生涯『独身』、つまり残りの生涯でどんな方法によっても自身の性的指向を持ち込まないことを要求することは、明らかに有害であり、人間の繁栄に寄与しません」と、同教会のフレッド・ハレル主任牧師は、「役員会を代表し、福音のために」と題する手紙でつづった。
ハレル牧師は社会学の研究を引用し、こうした要求を行うことで、性的少数者の「うつ病や自殺、中毒の発生率を非常に高める」と指摘。「一般的にこうした行いにより、多くの人は深く傷つき、誤解され、愛されたり受容されたりするのに値せず、そして自分を異常だと感じてしまうのです」と述べた。
ハレル牧師はまた、役員会では「福音が要請していることは何か?」という核心的な問いについても議論したことを明かした。「誰がキリストの体に属するのか?」「その人はどのように属するのか?」などの問いが話し合われたという。
「福音の趣旨と焦点は、排除するためにあったかつての境界線を打ち壊し、全ての人にイエスの温かい招きを広めることにあると信じています」と、ハレル牧師は続けた。
同教会の公式サイトによると、シティー・チャーチは1997年、ニューヨークのティム・ケラー牧師率いるリディーマー長老教会にヒントを得て、ハレル牧師が始めた。シティー・チャーチは現在、サンフランシスコ・ベイエリアをはじめ、全米各地に活発に枝教会を作り、成長している。ハレル牧師は、シティー・チャーチの役員会が、指針を得るため聖書に直接当たるという改革派の伝統に沿ってきたとしている。
「長い間、このことは福音派の間では『閉ざされた事柄』でした」とハレル牧師。「学者たちと(教会の)リーダーたちは以前は同じ解釈で一致していましたが、今や異なる結論に達しようとしています。このことによって考え方を変えなければならないということではありませんが、どのように互いの見地を維持するかを謙遜に考えました。状況と意見の多様性を検討した結果、福音派のコミュニティーではこの件について、明らかなコンセンサスを持っていないということが明白になりました」と話す。
今回の決定をする前、役員会は、ケン・ウィルソンの著書『A Letter to My Congregation(私の会衆への手紙)』を読んだという。この本は、「聖書に率直に取り組むにあたって、この会話において異なる見地にいるメンバーとの一致と忍耐を形成するための大きな共感と成熟」を示したという。
「もしイエスがシティー・チャーチの牧師なら、自分が教会に属することができるかどうか尋ねる人に何と言うでしょうか」とハレル牧師は問う。「イエスの生涯、その愛の提示、異邦人や捨てられた人に近づくようにとの召命、心からイエスを求める人に対する忍耐を考慮したとき、キリストがするであろう応答は何でしょうか」
同性愛者に対して生涯独身であることを要求するのをやめることは、「現に存在する私たちの中心的なビジョンに沿うものであり、この教会のドアは救い主が広げる腕と同じだけ大きく開いています」とハレル牧師は言う。
ハレル牧師は最後に、「私たちはもはや性的指向に基づいた差別をしませんし、会員になるにあたって生涯独身を前提として要求することもありません。性的指向にかかわらず、全てのメンバーに対し、私たちは結婚までの間純潔でいるよう期待し続けます」と結んだ。