フィジーの首都スバに事務局を置く太平洋教会協議会(PCC)は18日、大型サイクロン「パム」による被災状況の続報をフェイスブックで発表した。
それによると、このサイクロンによる破壊の跡は太平洋全域にわたっているが、主に救援活動が取り残されているのは南太平洋のツバルとバヌアツだという。また、一部の産業基盤に対する被害が、キリバスのいくつかの環礁に出ているという。
さらに、「バヌアツでは使える通信手段が限られていることから、私たちが確認できるのは14人の死者と果樹園、菜園、家屋、水源と産業基盤に対する大きな破壊だ」と、述べている。
PCC事務局によると、救援機関と太平洋地域の政府は、緊急の食料、水、仮設避難所と医療品の提供を始めたという。「これらが生活を維持し復興を確実に続けられるようにするのに必要不可欠な供給物である」と、「PCC状況報告 サイクロン『パム』」と題する続報で記している。
「私たちの加盟教会に連絡を取ろうと、できるだけの努力をしたが、成功しなかった」と、同事務局は述べつつも、「大半の牧師や聖職者たちは、地域社会にいて家屋を修理したり、自らの会衆に支援を行ったりしているだろうから、連絡できなったことは驚くに値しない」と付け加えた。
この状況報告によると、バヌアツの被害が最もひどく、約50パーセントの家屋が損傷ないし破壊されており、その多くは僻(へき)地にあるという。
また、同国の一部の地域では飲料水の水源が感染の危険にさらされ、海水を飲むことを余儀なくされているという。
PCC事務局は、「農園からの食料は最初の1週間は使えるが、引き抜いた根菜や落ちた果実は熱にさらされて腐り始めるため、3月21日からは供給物資が絶対的に不足するだろう」と述べた。
そして、すぐにバヌアツで必要なものとして、1. 水、2. 食料(乳幼児のための粉ミルクも)、3. 医療品、4. 仮設避難所(テントとタール塗り防水布)、5. 貯水タンク(浄水錠剤も)、6. 衣料、の6つを挙げた。
また将来、中期的には、1. 学校用品(生徒たちの文房具)、2. 家屋を再建するための物資、の2つが必要だと述べた。
一方、PCC事務局は、ツバルとキリバスについて、「これらの島々における被害の多くは産業基盤に対するものである。救援活動は援助協力者たちと協同して、それらの島国の政府によって指導されている」と述べた。
ツバル・キリスト教会の総幹事であるタフエ・ルサマ牧師の報告によると、ツバルの人口のうちの40パーセントは、先週に嵐が押し寄せてきたあと、一時的に住居を追われたという。ツバル政府の推計では、2005年に1万1000人を超えていた同国人口の20パーセントが、家屋を再建するために支援が必要になるかもしれないという。
PCC事務局によると、「キリバスとツバルの社会は、実質的に食料と水源を失ってしまった」と言い、バツアヌと同様な緊急支援と中期的な支援が必要であるという。
PCC事務局は、「私たちは今週を通して更新情報を伝え続ける。地元との連絡がいったんつけば、電話番号や銀行口座の詳細を伝える」と記している。
しかし、注意事項として、「救援機関との話し合いを経て私たちが忠告したいのは、地元では食料や水の貯蔵が非常に困難であり、供給物資が殺到することは助けになる以上に害となりうることだ」と述べた。
「従って、国際赤十字委員会か国々の全国赤十字社を通じて支援を行うのが賢明だろう」と記し、「それがだめなら、今のところは救援活動を控えて、約2カ月後に家屋や学校の再建に集中してもよいかもしれない」と提言する。
一方、オーストラリア教会協議会(NCCA)の国際援助機関であるアクト・フォー・ピース(Act for Peace)は18日、バヌアツで緊急の食料や避難所、水を提供するために、寄付を同団体のウェブサイトを通じて送ってほしいと本紙にメールで伝えた。
また、日本キリスト教協議会(NCC)も、本紙からの電話での問い合わせに対し、アクト・フォー・ピースやNCCが加盟しているキリスト教国際援助組織「ACTアライアンス」を通じて被災地を支援するための募金のお知らせを、近日中にNCCのホームページに掲載すると回答した。
なお、PCCの連絡先はこちら。