米アラバマ州最高裁判所は、米連邦裁判所の判決を覆し、州の検認判事に同性婚のカップルに結婚証明書を交付しないよう命じた。
アラバマ州最高裁は3日、7対1の多数意見で、連邦判事による判決と連邦最高裁判所による猶予の拒否によって、州の判決は尊重されなかったと結論づけた。
アラバマ州最高裁は判決で、「過去2世紀にわたって適切に運用されてきた通り、アラバマ州法は男性と女性の1対1の『結婚』のみを認める」としている。
また、「アラバマ州の検認判事は、この法に反するいかなる結婚証明書も発行しない職務上の義務がある。この義務によって、合衆国憲法を曲解したり無視していることにはならない」とした。
1月、米連邦地方裁判所のキャリー・V・S・グレネード判事は、2006年の住民投票で80%もの支持を得たアラバマ州の同性婚禁止を、違憲だとする判決を出した。
この連邦地方裁の判決でグレネード判事は、アラバマ州政府による控訴の結果が出るまでの時間として、2週間にわたって判決の執行を保留した。
アラバマ州はこの間、連邦最高裁に調停を求めようとしたが、連邦最高裁は先月、7対2の多数意見でこの訴えを退け、同性婚をより後押しした。
一方、アラバマ州最高裁のロイ・ムーア主席判事は、3日の判決では利害関係を持つとして判決から外れたが、検認判事に対しグレネード判事の判決にかかわらず、同性婚のカップルには証明書を発行しないようにとの命令を出した。
ムーア主席判事は昨月、「アラバマ州は、結婚証明書が発行されているか否かにかかわらず、あらゆる権限により制定された法によって現に起こっている、あるいは過去に起こっていたと推測される同性間によるいかなる結婚の証明も有効とは認めません」との命令を出した。
この混乱に加え、ムーア氏の命令が州当局により無視されたあとでさえ、同性婚カップルに結婚証明書を発行することを拒否した多くの検認判事の行動がさらなる混乱を生じさせた。
3日のアラバマ州最高裁の判決を受けて、全米レズビアン権利センターはムーア主席判事による動きを非難する声明を出した。
同センターは声明で、「唯一の質問は、アラバマ州に結婚の平等が戻ってくるかどうかではなく、どれだけ早く戻ってくるか、ということです」と述べ、「全米で結婚の平等の夜明けが始まっているのに、アラバマ州最高裁が歴史の誤った側面を選び取ったのは非常に不幸なことです」としている。