キリスト教系の国際NGO「グッドネーバーズ・ジャパン」が開催していた、第2回「ちびっこおえかきコンテスト」の表彰式が14日、江戸東京博物館(東京都墨田区)大ホールで行われた。
同コンテストは、途上国に住む子どもの生活を題材にしたDVDを鑑賞し、DVDに登場する子どもに向けて描いた絵が審査対象となるもの。今回は、バングラデシュに住む10歳の女の子、シュミラニちゃんの一日を追った内容となっていた。
母親の仕事を手伝い、家事、裁縫、動物の世話に忙しいシュミラニちゃんは、学校に通うことができない。しかし、「お医者さんになる」という夢を持つ彼女は、仕事が終わると一人で本を開き、勉強する。
そんなシュミラニちゃんに向けた応援メッセージを、日本の幼稚園・保育園の子どもたちが絵に描いた。応募総数は881点で、シュミラニちゃんへの思いが溢れた素晴らしい作品ばかりが集まったという。
特別審査員に久保田雅人氏(NHK教育テレビ=Eテレ「つくってあそぼ」に、「わくわくさん」として出演)を迎えた、総勢6人の審査委員による一次審査、二次審査を経て、入賞12作品、佳作45作品が選出された。
最優秀作品に選ばれたのは、プレスクール「マム・クラブ」に所属する5歳のいいじまこうへい君の作品。虹色に輝く光の中で、にっこりとしたシュミラニちゃんの大きな笑顔を描いた。
お母さんによると、いつもはひょうきん者のこうへい君だというが、会場に集まった大勢の人を見て、緊張してしまったそう。だが、絵を描いたり、物を作ったりするのが大好きだというこうへい君。「絵を描くのは楽しい?」と聞くと、「紙を切ったりして、カバンも作れるんだよ」と、通っている絵画教室のことを楽しそうに話してくれた。今回の作品には、たくさんの色が使われていたが「青色が一番好き」だという。
「DVDの内容を全ては理解できていないと思うが、不思議な気持ちになったようで、『かわいそうだね』『どうしてシュミラニちゃんのお母さんは病気なの?』などと聞いてきたりした。こういったコンテストや、幼稚園での取り組みを通して、自分とは違う環境の子どもたちに関心を持って、愛を分け与えられるようになってほしい」とお母さんは話した。
審査委員の重政啓治・武蔵野美術大学教授は、表彰式の中で、「昨年に続き審査員を務めたが、今回は明るい作品が印象に残るコンテストだった。最優秀賞作品の決め手も、非常に明るかったという点が評価された。普段はもっと大きな子どもたちの作品を見ているが、ちびっこの作品の持つ、のびのびとした自由な線、色が素晴らしいと思った。ますますその自由さを伸ばしていってあげてほしい」と総評した。
また、特別審査員の久保田氏は、「われわれの当たり前が当たり前じゃないんだよ、ということを子どもたちに伝えていってあげてほしい」と、このコンテストの持つ意義をあらためて強調した。
入賞した12作品は後日、シュミラニちゃん本人に送られることになっている。日本にいては意識しづらいことだが、世界にはシュミラニちゃんのような環境で暮らしている子どもがたくさんいる。そのような課題に対して、自分たちにもできることがあるということを知り、実際に一歩を踏み出すきっかけにしてほしいと、主催者のグッドネーバーズ・ジャパンは願っているという。