ブラジルの首都ブラジリアから30キロ離れた、首都近郊で最も貧しい町の一つであるセイランジア市で9日、精神異常の症状を持つ女性を2年間に渡り拘束、虐待していたとして同市の夫妻が逮捕された。調べによると、夫妻は同市にペンテコステ派の教会を建て、夫は牧師、妻は宣教師と名乗っていた。しかし、政府には女性についての虚偽の報告をし、女性を援助資金を得る道具とするなど、「教会」の名前を利用した悪質な活動に専念していたとみられる。サンパウロ新聞が19日、伝えた。
同紙によれば、逮捕されたのは夫リベイロ氏と妻リオマル氏。セイランジア市郊外にある教会内で、コインブラさん(30)を2年間に渡って拘束し、熱したアイロンを背中や胸に当てるなどの拷問を加え、虐待していた。地元警察が、匿名の電話で夫妻のことを知り、コインブラさんを救出したときには、強度の栄養失調で痩せ、体のあちらこちらで機能障害を起こしていたという。警察はまた、教会内で3人の少年を補導、1人はコインブラさんの息子ガブリエルくん(9)であった。
調べによると、夫妻は政府の援助資金を得るための申請書に、コインブラさんについて「恵まれない哀れな状態の女性」と書き、金を得るための道具としていた。また、政府の養育資金を得るためにガブリエル君の名前も変更し、孤児として再登録していたと言う。補導された他の2人の少年、ラクェルくん(14)とタリタくん(11)も夫妻に利用され不安定な生活を過ごしていた。
コインブラさんは現在、市内の病院に入院しているが健康状態は良くないという。また、補導された少年3人は収容施設で保護されている。
警察によると、「教会」の名前を使い、抵抗できない女性や子どもを利用して悪質な活動を続けてきた夫妻は、虐待、公文書偽造、詐欺などの罪で少なくとも15年の刑に処せられるという。