【CJC=東京】スリランカとフィリピンの2カ国を教皇フランシスコが訪問したことに、ロシアの電子メディア「ロシアの声」(日本語版)は、深刻な危機に陥ったカトリック教会としてはアジアに目を向けざるを得ないのか、という見方をしている。
教皇フランシスコは今回の訪問の半年前に韓国を訪れた。教皇の韓国訪問は25年ぶりだった。バチカン(ローマ教皇庁)はなぜ今、これほどアジアに関心を持っているのか?
「ロシアの声」は、東洋学者で歴史家のウラジーミル・コロトフ氏が、欧州におけるカトリック教会の権威失墜が理由だとの考えを示して、次のような発言を紹介している。
「欧州におけるカトリック教会は、深い危機に陥っている。西洋社会の完全なる道徳的水準の低下、キリスト教を含む宗教的聖人の愚弄(ぐろう)などが見受けられる。バチカンはこれらの状況の中で、世界的発展の牽引役であり、巨大な人的および物質的ポテンシャルを有しているアジアへ関心を向けずにはいられないのだ」。ただ「カトリックはアジアで、植民地支配と一緒に進歩を遂げた。16世紀、征服者たちはカトリック教徒になることを拒否した人たちを全て殺害し、カトリックを受け入れた人々でかいらい政権の未来のメンバーを形成した。いまだにアジアの外交力はカトリック教徒たちに頼っている。例えば、ベトナムの親米傀儡(かいらい)政権の全指導者がカトリック教徒だったのも、偶然ではない」という。
ただ、バチカンにとって再びアジアを征服するのは容易なことではないとして、コロトフ氏は「カトリックは、大乗仏教が信仰されているアジア諸国でしか根付いていない。小乗仏教が広まった国では、カトリック導入の試みは成功しなかった」と指摘する。かつて、アジアにおけるカトリックの主な伝道者となったのは、修道会「イエズス会」だった。コロトフ氏は、欧州におけるバチカンの基盤が崩れ去ろうとしている今、バチカンは、大きな人的および経済的資源があるアジアへ、自分たちの使節団を派遣しているのだと見ている。