エジプトの大統領が、コプト正教会のミサに出席した史上初の国の指導者となった。
宗教的な不寛容との戦いへのコミットメントを表す新しいしるしとして、エジプトのアブデルファタハ・アル・シシ大統領は、同教会の暦でクリスマスイブに当たる今月6日、カイロにあるコプト正教会の聖マルコ大聖堂を訪れた。
エジプトのオンラインニュースサイト「マダ・マスル」によると、シシ大統領は会衆に、「クリスマスのごあいさつをするためにここに来ることは、私にとって必要なことでした。そして私が、みなさんの祈りの妨げになっていないことを願います」と語った。
「何年もの間、エジプトは世界に対し文明と人間性を教えてきました。そして現在の状況下で、世界はエジプトに多くを期待しています。エジプトの本当の一致の姿を世界に示すこと、そして何を差し置いてもまず、私たちはエジプト人であるということを確認することが重要です。私たちは、実に差別なくお互いを愛しています。これがエジプトの真実だからです」
大統領が話すその隣には、エジプト国内のコプト正教会最高指導者である、コプト正教会アレクサンドリア教皇タワドロス2世が立っていた。教皇タワドロス2世は、この訪問を「喜ばしいサプライズで、人道主義的な姿勢」だと呼んだ。そして、「私たちは、このエジプトが新しい考え方と精神による新しい時代を迎えようとしていると感じます。私たちはこれを、私たちの子どもの将来のために、また世界の国々の中でエジプトをあるべき地位に据えるためにともに打ち立てようとしています」と語った。
この訪問は、首都カイロの200キロ南にあるミニヤーの教会で、警備に当たっていた2人の警察官が銃殺された事件の後になされた。キリスト教徒は、ムスリム同胞団のムハンマド・モルシ前大統領がクーデターで失脚した後、クーデターを支援したとしてイスラム過激派の標的とされている。
シシ大統領は原理主義との戦いを「宗教的改革」と呼んでいる。イスラム教スンニ派最高教育機関として有名なアズハル大学でこの週に行われた講演の中で、シシ大統領は学生たちに対し、暴力的なイスラム教のイデオロギーは「全世界に敵意を引き起こすもの」だと語った。そして、次のように語った。
「70億人いる世界人口のうち16億人のイスラム教徒が、自分たちが生きるために他の人を殺したいと願うことは可能でしょうか。ありえません!
私はここアズハル大学の、学生とウラマー(イスラム教知識人)のみなさんの前でお話しします。全能の神アラーが、私が今お話ししていることについて、裁きの日にあなたの真理の証人となってくださいますように。
私が今お話ししていることは、この考え方の中にとらわれているままでは感じることができないでしょう。より覚醒した見地を反映し、その見地から物事を観察できるようになるために、あなたは自分自身の外へ歩み出す必要があります。
私はくり返して申し上げます。私たちは宗教的改革の必要に迫られているのです。あなたがたイマム(イスラム教指導者)は、アラーの前に責任を取らなければなりません。全世界が、もう一度言います、全世界があなたの次の行動を待っているのです。というのは、このウンマ(イスラム共同体)はずたずたに引き裂かれ、破壊され、失われようとしているのです。しかも、私たち自身の手によって失われようとしているのです」