【CJC=東京】英ロチェスターのマイケル・ナジル=アリ主教が、同性愛者問題などが討議される来年のランベス会議ボイコットを示唆するなど、英国国教会(聖公会)の最高指導者カンタベリー大主教ローワン・ウィリアムス氏のお膝元も不穏な状況になって来た。
英キリスト教シンクタンク「エクレシア」は、10年毎に行われる聖公会共同体の最高会議であるランベス会議は、米聖公会が同性愛聖職を容認し、同性間の結合を祝福するなどといった姿勢に立っていることに同派内だけでなく各国聖公会の保守派からの不満が出ており、その動向に関心が集まっていると報じた。
「デーリー・テレグラフ」紙などによると、ナジル=アリ主教は、米ニューハンプシャー教区の公然同性愛者ジーン・ロビンソン主教がランベス会議に出席するなら、自分は出席するのが「困難だ」と語った。ナジル=アリ主教は、カンタベリー大主教の候補にも擬せられたこともある福音派の有力者。
その一方で、ロビンソン主教をランベス会議から排除しようとする動きに反対し、ウィリアムス大主教に働き掛けも行われている。ロビンソン氏が正式代表ではなくアドバイザーとして出席するとの報道もある。
「現在、私の悩みはジーン・ロビンソンなど特定の人に関するものではなく、彼の叙階を認めたり、司式することを正しいと感じる人々にある」と、ナジル=アリ主教はテレグラフ紙に語った。「その人たちが、自らの行動は福音とは相容れないものであり、そして私たちが皆、常に自らがおかした過ちを悔いる必要があると言わない限り、私は、その人たちと一緒に主教会議の席にいることは非常に難しいと思う」と言う。
またナジル=アリ主教は、米聖公会の聖職者が仏教とヒンズー教の一部を受けいれ、一方で聖書を適切に評価していないことを非難した。
ランベス会議はこのところ、難局にある聖公会共同体の論議の根源になっている。7月には「南半球」の指導者たちがボイコットを決めた。最大120人の主教が、米聖公会の同性愛聖職者と同性間関係に対する現在の容認姿勢を否定しない限り、会議に出席しないと言う。会議開催までには、さらに参加者が激減するのではないかとも見られている。