上智大学(東京都千代田区、早下隆士学長)は7日、アフリカ開発銀行(AfDB)アジア代表事務所(同、玉川雅之所長)と教育提携に係る合意書を締結した。国内の教育機関が同事務所と提携するのは今回が初となる。
グローバルな人材育成に力を入れる上智大。文部科学省の2014年度「スーパーグローバル大学創成支援事業」に、グローバル化牽引型大学として採択された同大では、アフリカをグローバル化推進の戦略的展開地域と位置づけ、アフリカ研究を擁する総合グローバル学部を昨年4月に開設した。アフリカの大学や教育機関との協定締結など、アフリカ地域との教育・研究交流を活発に展開している。
アフリカ開発銀行は、アフリカの加盟国政府へのインフラ投資や技術協力、民間企業による投資の促進や開発プロジェクトへの支援などを通じて、加盟国の経済・社会開発の促進を目的とする国際機関。2012年にアフリカ地域外で初となるアジア代表事務所を東京に開設した。今回の上智大との教育提携は、同事務所との間で結ばれた。
今回の提携により、上智大は、アフリカにおける国際協力や開発分野での連携講座の開講、セミナーやシンポジウム実施への協力、そして学生を対象としたインターンシップ・プログラムなどを実施するとしているほか、2015年度の春学期には豊田通商株式会社とグローバルビジネスに関する共同講座を開講する予定だと発表した。
また、協定締結を記念したシンポジウム「アフリカを立体的に捉える−現状と展望配−」が7日夜に開催され、学生や高校生など約80人が参加。アジア代表事務所の玉川雅之所長と、同大総合グローバル学部でアフリカ研究に取り組む眞城百華(ももか)助教が基調講演を行った。また、パネリストとして外務省アフリカ部アフリカ第一課長の堀内俊彦氏、国際協力機構(JICA)アフリカ部審議役の内藤康司氏、豊田通商株式会社自動車本部長常務取締役の服部孝氏が参加。ポルトガル語学科の矢島達宏准教授の進行のもと、パネルデスカッションが行われ、外交政策、開発援助、ビジネス展開など多様な側面からアフリカの現状について議論が展開された。
同大は、「“最後の巨大市場”と位置づけられ、急激な経済成長を遂げるアフリカ。本学では、学生が社会で中核的な役割を担う数十年後を見据え、グローバル社会においてより一層存在感を増す同地域に対する視点を在学中のうちに養う必要があると考えています」とし、アフリカの大学や教育機関との協定締結など、同地域との教育・研究交流をさらに活発に展開していくとしている。