日本ルーテル福音教会の福岡地区が主催する「いのちの意味を考える」連続講演が8日、終了した。初回から第3回まで、臨床心理学、ソーシャルワーカー、カウンセラーなど精神医療の分野に携わる専門家が「いのち」の意味を伝えた。最終となる第4回目の講演では、鈴木浩氏(日本福音ルーテル教会牧師、日本ルター学会理事、ルター研究所所長)が、牧師としての神学的見地から「キリスト教といのち」というテーマで講演。聖書に基づくいのちの意味を伝えた。
福岡地区にある5教会が一緒になって行うイベントとして、去年から始まった連続講演。07年度は、日々新聞やテレビで取りざたされる「いのち」について教会として語ることの必要性を感じ、テーマに掲げた。
連続講演会の実行を担当する野口勝彦氏(日本福音ルーテル二日市教会牧師)は、「聖書世界を実践的にしたものが臨床心理学や社会福祉学。ルーテル学院大楽(東京・三鷹)でも、最終的には聖書が中心になる福祉、臨床心理の活動を行っています」と、キリスト教精神に基づいた講演会の流れを説明する。
すべての日程を終えて野口氏は、「講師としてきていただいた先生方も、いのちという大きなテーマで、どういうことを話したらいいのか戸惑ったと思います」「先生方それぞれが、もっている背景を語り、自分自身にも新しい発見があったそうです」と語った。
講演会全体で約80人が参加した。最終日の8日は、5教会が一同に会する特別な日ということもあり、午後に行われたコンサートには100人以上が参加。立ち見が出るほどの盛況ぶりだった。
「こどもといのち」「家族といのち」「人間関係といのち」、そして「教会といのち」というテーマで続けられた講演会は、一人の人間が子どもから大人になり、人間関係の中で迷い悩み、教会で自分自身の真の「いのち」を見出すというクリスチャン誕生の物語を連想させる。
臨床心理学や社会福祉学、精神医学の根源をたどるとき、自分自身の存在理由と価値に意識が向けられる。「最終的に聖書が中心となる」という野口氏の言葉は、医学と聖書は別々のものという見方ではなく、医学の世界も最後は聖書に通じるものであることを示していた。