北アフリカのスーダンの首都ハルツームで2日、警察当局が福音派の教会を強制捜査し、若い教会員37人を拘束した。この強制捜査以前に、当局はすでにこの教会の建物の一部を壊すなど圧力をかけており、当局の教会への弾圧がさらに強まっている。
当局は、教会の土地はショッピングセンターの建設を希望する投資家が所有するものだと主張しているが、教会のリーダーたちは、この動きが国内の教会に対する一連の圧力であると考えている。
ハルツームの北にある都市ハルツーム・ノースの福音派教会の牧師であるヤヒヤ・アブデルラヒム・ファロ氏によると、同日、警察は9つの車両を従え、朝6時ごろに教会に到着。地元ラジオ「ラジオ・ダバンガ」にファロ氏が語ったところによれば、警察の何人かが建物の外壁を破壊し始め、別の何人かは、建物内部で祈りと断食の最中であった若い教会員たちを逮捕した。
ファロ氏は、拘束された37人が3つのグループに分けられたと言う。うち2つのグループは、それぞれ別の刑事裁判所へ送られ、各教会員は「公の暴動と公務執行中の警官への妨害」を理由に35米ドル(約4200円)相当の罰金を科された。残りの15人の若者は別の裁判所へ送られ、裁判官が無罪を言い渡した。
ファロ氏は、今回の事件について「キリスト教徒の尊厳のあからさまな侵害と、スーダンの全てのキリスト教徒への屈辱である」と抗議。現在も進行中である教会の建物の取り壊しの即時停止を要求している。
教会が標的とされたのは今回の事件が初めてではない。先月19日には、同教会主任牧師の家が押収され、「若者の家」が破壊された。
こうした圧力に対し、ハルツームの教会指導者や学生、教会員らが抗議をし、平和的解決を求め、この隣接する教会で祈りをささげていた。
スーダン教会協議会のコディ・エル・ラムリ総幹事は9月初め、ラジオ・ダバンガで、同協議会がキリスト教徒への嫌がらせと差別に関する多くの苦情を受けていることを語っていた。ラムリ総幹事は「キリスト教徒が自らの教会を訪れることが、組織的に妨害させられているのです」と指摘した。
ハルツームにあるスーダン・ペンテコステ教会とスーダン・キリスト教会は、閉鎖させられたり、破壊された教会の一部だ。スーダンは現在、新しい教会の建設を禁止している。
スーダンのオマル・アル=バシール大統領は、キリスト教徒が多数派を占める南スーダンと2011年に分離して以来、同国でより厳格なイスラム法を制定した。キリスト教徒の女性メリアム・イブラヒムさんが、イスラム教からの背教を理由に投獄され死刑判決を受けたことは、国際社会からの抗議の的となり、メリアムさんは今年6月に解放されるに至っている。
バーシル大統領は、同国西部のダルフール地方での残虐行為をはじめとする戦争犯罪と人道に対する罪で、国際刑事裁判所により起訴された初の現職大統領でもある。