先月5枚目のニューアルバム『Time of Love』をリリースした、ゴスペルジャズシンガーの戸坂純子さんが2日、発売記念ライブを開催した。今回のアルバムは、ジャズとゴスペルのミックスがコンセプト。戸坂さんは、「ゴスペルというのは、歌詞の内容で決まってくる。神様のことを歌っているのならば、どんな音楽であってもゴスペルになる」と話し、ライブはジャズの雰囲気たっぷりに行われた。
会場となったジャズレストラン、六本木サテンドール(東京都港区)は、予約の時点ですでに満員だったが、開始時間になっても予約以外のお客さんがどんどんやってくる。ジャズという音楽だからだろうか、客層は若者から年配の人まで非常に幅広い。どの世代の人たちも、同じように体をリズムに合わせて揺らす姿が印象的だ。
この日は2回のステージに分けてライブが行われた。1回目のステージでは、アルバムのジャケット写真に合わせて黒いハットをかぶって登場した戸坂さん。アルバムに収録されている「What Wonderful World」と、オリジナルソング「美しい世界」を披露した。
続けての「He's Got The Whole World In His Hands」「Hallelujah」は、米国では非常にメジャーなゴスペルソング。日本でも広く歌われることを願っているというが、お客さんの反応には手ごたえを感じている。デパートなどのイベント会場でノンクリスチャンのお客に向けて、ポップスのナンバーにゴスペルを少し挟んで演奏しても、「Hallelujah、良かったよ」と声が掛かることが非常に多いという。「聖書に登場する、ダビデとサムソンという人物をピックアップして、神様を褒めたたえるゴスペル」「この世の全ては、神様の御手の中にありますよという意味」と、お客さんの印象に残るように分かりやすく歌詞の説明をする。
ステージの最後には、アルバム未収録曲を届けた。日本でも広く知られているゴスペル「Amazing Grace」。作詞者ジョン・ニュートンの「人生の中で大して良いことをしてこなかったのに、今生きがいを持って生きている」という神への感謝の喜びに焦点を当て、アップテンポにアレンジされたバージョンだ。
今回のアルバムを収録したバンドメンバーには、セカンドアルバムの収録から共演を重ねている板垣光弘さん(ピアノ)のアドバイス受けて、初めて河野広明さん(トロンボーン)が加わった。板垣さんのアドバイスどおり、お客さんからも、「戸坂さんの声とトロンボーンは相性が良い」と大好評。
バンドメンバーの一人、スティーブ・サックスさん(サックス・フルート)は、戸坂さんと同じクリスチャンだ。ハーバード大学で音楽理論を学び、演奏活動だけでなく、作詞や作曲、編曲、大学での指導など幅広く活躍している。結婚を機に来日し、数多くの日本人アーティストと共演してきたスティーブさんだが、「戸坂さんは、声の音色が魅力的。プロとして真面目でありながら、謙虚な姿勢を忘れない。そして可愛い」と評する。「日本人のクリスチャンミュージシャン、しかもジャズミュージシャンと一緒に演奏できる機会はめったにない。本当に幸せ」と、同じクリスチャンとして協力できる喜びを語ってくれた。
12月に入ったばかりのこの日。2回目のステージで戸坂さんは、「クリスマスは、イエス・キリストの誕生日。私も最近知りました。本当のことを知ってからは、クリスマスがもっとハッピーなものになりました」と、クリスマスのゴスペルをメインに歌った。
これから始まるクリスマスの時期は、本当のクリスマスの意味を伝えるメッセージを織り込みながら、ライブやコンサートを行っていくという。「与えられたステージの一つ一つで、忠実に賛美していこうと思います」
戸坂さんのチャペルコンサートなどの問い合わせは、オアシス・ミュージックオフィス(電話:070・5458・0711)まで。コンサート・ライブ情報は、公式HPでも随時更新されている。