1932年から33年にかけて当時のソ連による人工的な大飢饉で何百万人ものウクライナ人が亡くなってから80年余。ウクライナ語で「飢餓による苦死」を意味するホロドモールと呼ばれるこの悲惨な出来事による犠牲者の追悼式典が、22日にウクライナなどで行われる。23日には東京の教会でもエキュメニカルな合同礼拝が行われる予定だ。
ウクライナ宗教情報サービス(RISU)が18日に報じたところによると、今年のホロドモール犠牲者追悼式典は過去5年を経て初めて国家的行事として行われるという。標語は「彼らは私たちの自由を飢餓で殺した。1933年に負けず、今日も無敵!」
RISUによると、ビクトル・ヤヌコビッチ前大統領が権力を掌握してから4年間は、ホロドモールの犠牲者を追悼するほぼ全ての催し物が、当局の参加なしに地域社会で行われていたという。ウクライナ国家記憶研究所のボロディミール・ビアトロビッチ氏も、ホロドモール犠牲者追悼日の準備と計画のための簡潔な説明の中で、ヤヌコビッチ前大統領が権力を握っていた間は、国家レベルでのホロドモール犠牲者たちの合同追悼式典が行われることはなかったと述べている。
ウクライナ政府が伝えたところでは、5年経って初めて、ウクライナ政府と地域社会が合同で追悼行事の準備をし、ホロドモールによる何百万人もの犠牲者たちをたたえるという。
記念行事は18日からすでに始まっており、22日まで行われる。18日には首都キエフにある「ウクライナのホロドモール犠牲者メモリアル」国立博物館で、「1932年から33年までの飢饉による殺りくに対するウクライナ人の抵抗」と題する記念講演が、ウクライナ国家記憶研究所の助手によって行われた。
19日には『大飢饉 あの忘れられた大量殺りく』と題するフランスの映画上映などが行われ、20日には『刑事事件ファイル475によるウクライナにおける1932年〜1933年の大飢饉』という本の発表や、スターリンの集団化政策に対するウクライナ人の反乱の歴史に関する「大量殺りくに対する抵抗」のドキュメンタリー写真の展示が始まった。
そして最も主要な催し物は22日に国の参加をもって行われる追悼式で、「ウクライナのホロドモール犠牲者メモリアル」国立博物館で行われる。午後4時には全国で黙祷がささげられ、ウクライナ全国で「記憶のろうそくの光」を灯す行動が行われる。
さらに、日本で活動しているウクライナ正教会キエフ総主教庁聖ユダ・ミッションは23日午後4時半から、日本聖公会聖オルバン教会(東京都港区)で、ホロドモールで犠牲になった人々を記憶して、カトリックや聖公会の聖職者と共にエキュメニカルな合同礼拝を執り行うという。
「お心を寄せていただける方、共にお祈りくださる方でしたら、どなたでもご参列いただけますと幸いです」と、同ミッションのポール・コロルーク神父は述べている。
この合同礼拝は、ホロドモールの犠牲者全ての人々の魂の安息のため、駐日ウクライナ全権大使のイホール・ハルチェンコ氏の要請により行われ、大使も公式参列の予定だという。