教皇フランシスコと世界福音同盟(WEA)の総主事は、福音派とローマ・カトリック教会の関係における「新しい時代」を称賛した。
WEAの代表団が教皇フランシスコやキリスト教一致推進評議会(PCCU)と6日に会見し、共通の関心分野に関する協働の可能性について話し合った。
PCCUに対する演説の中で、WEA総主事のジェフ・タニクリフ博士は、「私たちは自らの諸伝統の間における違いを認めながらも、過去において共有してきた共通の務めも是認し、それらを基礎に置くことができるよう祈ります」と語った。
「福音派はとても多様な集団で、ペンテコステの伝統や、改革派、バプテスト、単立の人たちや教会が含まれています。私たちは主イエス・キリストへの共通の信仰と、神の国に使える願いをともにし、個人の霊的な刷新や変容を促す心と、そしてイエスを世界中に知らせる情熱をもっています。キリストに従うことを求めつつ、私たちはこの時を福音派とローマ・カトリックの関係における新しい時代であるとみなしています」
同総主事は、両方の共同体の信者がともに活動している国々はたくさんあると語った。「カトリックと福音派の間に特定の地域における提携関係があることを世界が知ることは大切なことで、それは悲劇的な社会問題に対する大規模な協働へと発展しつつあります」と同総主事は述べた。「例えば、私たちは人身取引に対応するために世界中の多くの都市で福音派とローマ・カトリックのクリスチャンたちが協力していることを知っていますし、その一方で同時に、宗教に対する迫害というひどい問題を分析しそれに対応するために、福音派とカトリックの学者たちや運動家たちが協働し始めました」
この会合で、WEAはキリスト教ゆりかご基金(the Cradle of Christianity Fund)、核兵器廃絶、そして極めて貧しい人たちのために正義を求めることを、WEAとその協力者、そしてバチカンの各部局の間で協働の可能性があるいくつかの具体的な分野として提案した。
ところが、共通の関心分野においてさえ、この二つの機関には協働に対する歴史的な障害となってきた神学的な違いもある。タニクリフ博士は、社会問題における協力には「福音派とカトリックがともに同意し、また私たちが異なる問題に関して、私たちの核心的な信仰についての公的な議論の新たな段階が伴う」べきであると語った。
「より深い段階で共に隣人を愛することには、ローマ・カトリックと福音派の基本的な神学と倫理に関するより高い段階での公的な議論が伴うべきです」と同総主事は語った。「これは私たち自らの教会員にとって教育的な価値をもつものとなるでしょう。それはキリスト教の信仰に興味のある求道者たちに答えをもたらすことでしょうし、その人たちの興味や疑問は私たちに共通の隣人愛によって呼び覚まされたのかもしれません。それにそれは多宗教世界において道義に基づいた公的な議論のための健全な模範を定めるものです」
同代表団に対する演説の中で、教皇フランシスコはこう述べた。「最初から、クリスチャンたちの間には分断があり、悲しいことに、今日でさえ、私たちの共同体同士の間には対立や競合関係が存在しています。これは全ての民に福音を説くようにと主が命じられたことを果たす私たちの能力を弱めてしまうのです。私たちの分断は、継ぎ目のないキリストの外衣がもつ美しさを台なしにしてしまいますが、洗礼を受けたすべての人たちにおける、恵みによってもたらされた深い一致を、完全にこわすことはありません」
「もしクリスチャンたちが自らの分断を克服し、共にサクラメント(訳者注:カトリックでは秘跡、プロテスタントでは聖礼典)を祝い、神のみ言葉を広め、そして慈愛を証しするのであれば、キリスト教のメッセージが持つ効果はもっと大きくなるでしょう」
同教皇はWEAとPCCUの間の会談が「誤解をはっきりさせ、偏見を克服する道を示すことによって、新しい地平を切り開いた」と付け加えた。「これらの会談が、私たちの共通の証しと福音を伝える私たちの努力をさらに促すものとなるよう、私は望みます」と、同教皇は述べた。