自殺のほう助を訴えていた米国人女性のブリタニー・メイナードさんが、30歳の誕生日を目前に控えながら、1日に自ら命を絶った。
米ピープル誌によるとメイナードさんはこの日、自身のフェイスブックに「私の大好きな友達や愛する家族へ、さようなら。今日は末期の病気に直面する私が、尊厳をもって死ぬために、自分で選んだ日です。私からとても多くのものを奪い取ったこのひどい脳のがんだけど、はるかにもっと奪い取ったかもしれない」と記した。
「この世界は素晴らしいところです。旅行が私の最大の先生でした。私の親友や親しい人たちは与えることを惜しまぬ人たちです。私がタイピングするときも、自分のベッドのまわりには支えの輪さえあるのです。世界よ、さようなら。良い力を広げてください。それを他の人にも受け渡してください!」
メイナードさんは今年の1月1日に脳腫瘍と診断された。その後、余命6カ月と宣告され、この病気による衰弱が激しくなり過ぎる前に、自らの命を終えることを決めた。米国で自死のほう助が合法とされる5つの州の1つであるオレゴン州に移り、自らの最後の2~3カ月に尊厳死を求めて運動をし、「憐れみと選択(Compassion & Choices)」という提言活動団体の顔となった。
また、ユーチューブで動画を公開し、自身の決意を説明したが、その閲覧回数は1千万回を超えた。
「何カ月も調べたあげく、家族と私は胸が張り裂けるような結論に達しました。私の命を救ってくれる治療法はないこと、そして勧められた治療法は私が残した時間を壊してしまっただろうということです」と、メイナードさんはCNNの署名入り記事で記している。
「私の人生の終わりにこの選択をすることは、信じられないほど大切なことになりました。それは、そうでなければ恐怖や不確かさ、そして痛みによって支配されるであろう心乱れる時の中で、私に平安という感覚を与えてくれました」
「今や、私はこの美しい地球上で私が過ごす残りの日々や週の中で、前に進むことができるのです。喜びと愛を求めるために、愛する人たちと外で自然の驚異へと旅をして過ごすために・・・。私の苦しみが大き過ぎるようになったら、私は愛する人たちみんなにこう言うことができます。『私はあなた方を愛しています。私のそばに来て、次が何であろうとその中へ逝く私に、さよならを言いに来てください』。私は2階にある自分の寝室で死ぬでしょう。私の夫や母、継父、そして一番親しい友達が私のそばにいてくれて、平安のうちに逝くでしょう。他の誰からもその選択を奪おうとすることなんて、想像できません」
メイナードさんは先週、2つ目の動画を公開し、「ちょうどいい時である気がしな」かったので、自分が死ぬのを遅らせるかもしれないことを示唆していた。しかし、「憐れみと選択」のスポークスマンは1日、メイナードさんが以前に決めていた通り、家族に囲まれて、1日に亡くなったことを明らかにした。
「ブリタニーさんは、発作がますます頻繁に起こり長くなり、深刻な頭痛や首の痛み、そして脳卒中のような症状に苦しみました」と、この団体の声明文には記されている。
「症状がさらに深刻になるにつれて、彼女は何カ月も前に受け取っていた、死ぬことを助ける薬を飲むことによって、死ぬ過程を短縮することを選びました。この選択はオレゴン州尊厳死法で認められています。彼女は意図していた通り亡くなりました――自分の寝室で平安のうちに、愛する人たちの腕の中で」
メイナードさんの選択は、とりわけクリスチャンの間で、自死ほう助について多くの論争を引き起こした。ボストンにあるリデンプトリス・マター(救い主の母)神学校のトニー神父と呼ばれるメデイロス氏は、フェイスブックのページを作り、メイナードさんが死に至るまでの日々に彼女のために祈るよう、信仰者に促していた。
「妻であり、娘であり、私たちみんなにとって姉妹であるブリタニ―・メイナードさんの逝去について聞いた私たちは、悲しんでいます。私たちが命ある彼女のために祈り、彼女を愛し、彼女を気遣ったのですから、今こそ、死のうちにある彼女のために祈りましょう」と、2日に同フェイスブックページに投稿された声明文には記されてる。
「私たちの全能である父なる神が、彼女の全ての罪をお赦しくださり、御子の御国における神のご臨在のうちに、彼女に安息と平安をお与えくださいますように。『彼らの目の涙をことごとくぬぐい取ってくださる。もはや死はなく、もはや悲しみも嘆きも労苦もない』(黙示録21:4)。ブリタニ―さん、私たちはあなたを愛しています!安らかにお眠りください」と、声明は結んでいる。