三浦綾子の夫であり、三浦綾子記念文学館館長の三浦光世氏が、30日午後9時46分、敗血症のため北海道旭川市の旭川リハビリテーション病院で召天した。90歳だった。共同通信などが伝えた。
1924年、東京都目黒区生まれ。3歳の時に一家で北海道に移住。旭川営林局(当時)に勤務していた59年、キリスト教同人誌をきっかけに出会った、同じ旭川に住む綾子氏と結婚した。
64年に朝日新聞の1000万円懸賞小説に綾子氏の『氷点』が1位入選。執筆するよう勧めたのも、題名を考えたのも光世氏だった。入選を機に、本格的な執筆活動に入った綾子氏を、公私にわたるパートナーとして支援した。
67年の『塩狩峠』執筆途中から、筆記困難になった綾子氏に代わり、光世氏が口述筆記をする形で、共に数多くの作品を生み出した。新しい著作が出るごとに、綾子氏は感謝の気持ちを書籍に書き添えて、光世氏に贈っていたという。綾子氏にとって、光世氏はまさに「神から賜った愛する夫」であった。
99年に綾子氏が天に召した後も、三浦綾子記念文学館館長の働きを通して、「三浦文学」を支えた。著書は、エッセー『綾子へ』、歌集『三浦光世集−吾が妻なれば』ほか多数。