ナイジェリア北東部のある村で、約30人の子どもたちが、イスラム過激派組織「ボコ・ハラム」ではないかと疑われる武装集団に拉致されたと、地元の長が26日に明らかにした。
同国北東部のボルノ州にあるマファ村の村長アルハジ・シェティマ・マイナ氏は、武装集団が23日に襲撃し、「若者たち、少年と少女をわしづかみにした」と語った。「彼らは13歳以上の少年たち、そして11歳以上の少女たちを全員連れ去った」という。
AFP通信によると、マイナ氏は「ナイジェリア政府に助けを嘆願していた」が、今のところ何の助けも受けていない。
今月中旬、ナイジェリア政府とボコ・ハラムとの間で停戦が合意され、4月に同州チボクの学校から連れ去られた200人を超える少女や若い女性たち(その多くはキリスト教徒)を解放するための取り引きが成立したと発表された。
同政府のマイク・オメリ報道官は、この取り引きは捕らわれた人たちの解放を含むものであり、ボコ・ハラムは「女生徒たちやその他捕らわれている全ての人たちがみな生存中で元気だということ」を保証したと述べた。
しかし、ボコ・ハラムはまだ停戦を確認しておらず、最近の拉致によって彼女たちの無事帰還への希望がくじかれてしまった。
27日に発表された国際人権NGO「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」の報告書の中で、アフリカ担当ディレクターのダニエル・べケレ氏は、ナイジェリア政府とその同盟国は「努力を強めこれらの残忍な拉致を終わらせる必要がある」と述べた。
同団体は、2009年のボコ・ハラムの蜂起以来、7000人を超える一般人が彼らによって殺害されてきたと推計している。
「ボコ・ハラムによる虐待と政府による不十分な対応によって、ナイジェリア北部の多くの人々は恐怖と苦脳に悩まされている」とべケレ氏は言う。「このテロの循環を食い止めるために、政府とその同盟国は彼らの保護や支援サービス、そして虐待に対する法的対応を強める必要がある」と訴えている。
迫害下にあるキリスト教徒を支援するカトリックの慈善団体「エイド・トゥー・ザ・チャーチ・イン・ニード」(ACN)のオーストラリア支部は27日、ボコ・ハラムの攻撃から逃れてきたキリスト教徒の難民を支援すると発表した。ナイジェリア北東部にあるマイドゥグリ教区のオリバー・ドウメ司教から要請があり、ACNオーストラリアは、6万4000オーストラリア・ドル(約610万円)の一括支援を承認したという。