米国、欧州で昨年12月に公開され、大きな反響を呼んだ映画「マリア」(原題:The Nativity Story)の日本での上映に向けて、キリスト教関係者を対象にした試写会が26日、東京・千代田区の東商ホールで行われた。約600人収容可能のホールはほぼ満席。映画はクリスマスに合わせて12月公開予定で、「クリスマス」の本来の意味を伝える映画として注目が集まっている。参加者からは、「御言葉がそのまま引用されていて聖書で読んでいたことが本当にリアルに感じられ、感謝の気持ちでいっぱいになりました」などの声が聞こえた。
映画はマタイの福音書、ルカの福音書の記述をもとにマリアとヨセフの出会い、2人のナザレからベツレヘムまでの旅、イエス・キリストの誕生までを時間を追ってを描いている。婚約が決まっている中で受胎告知を受け、家族やヨセフにどう告げたらよいのか戸惑うマリアや、それを受け入れるヨセフの細やかな心情などを描き出し、キリスト誕生前の話を臨場感溢れる物語として再現している。
映画は、神学、歴史、政治、社会、文化など様々な分野の専門家の協力を得て作成され、映像的側面だけではなく、文化的、伝統的な側面まで当時の様子を正確に再現するよう様々な努力が払われたという。字幕は『タイタニック』や『スター・ウォーズ』などの字幕翻訳で知られる戸田奈津子氏が担当。表現は聖書の言葉がそのまま使われるよう配慮もなされた。
主役マリアを演じるのは『クジラの島の少女』(02年)で史上最年少でアカデミー賞主演女優賞にノミネートされたケイシャ・キャッスル=ヒューズ。監督は、『サーティーン あの頃欲しかった愛のこと』などで知られるキャサリン・ハードウィック。米国では、キリストの受難と磔刑を描いた映画『パッション』(原題:The Passion of the Christ、監督:メル・ギブソン、04年)の前編という評価も出されている。昨年11月末には史上初となるバチカンでのワールドプレミアも行われた。
撮影は、『奇跡の丘』(原題:Vangelo Secondo Matteo、監督:ピエル・パオロ・パゾリーニ、1964年)や『パッション』の撮影も行われた南イタリアのマテラ周辺や、モロッコのワルザザートで行われた。撮影に用いられた家々は、地元のスタッフらが川からさらってきた泥で作り、パンを焼くかまども1000年前と同じ手法で作るなど、当時の様式が忠実に再現された。
キリストの受難を描いた映画として、ギブソン監督が私財2500万ドル、構想12年を費やしたとされる『パッション』は、全米公開後5日間の興行収入が「スター・ウォーズ エピソード1」「ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還」を抜いて第1位という大ヒットを記録し、日本でも観客動員数100万人を越えるなど大きな反響があった。『マリア』公開はそれから3年が経過し、今度はキリストの誕生を描く映画として注目が高い。
全国の教会、ミッションスクールに向けては、配給元のエイベックス・エンタテイメントからキリスト教界専用のチラシとポスターが無料で配布される。チラシは約45万枚、ポスターは約1万枚用意されており、約9000件に送られる予定。さらに、当日一般1800円のチケットは、キリスト教書店で特別鑑賞券として1300円で販売され、キリスト教書店で購入した人には限定で特製しおりがプレゼントされる。
キリスト教関係者を対象にした試写会は今後、札幌、名古屋、大阪、福岡でも予定されている。映画の動員協力としては、いのちのことば社、日本聖書協会、カトリック中央協議会広報が協力する。
問い合わせは、いのちのことば社ライフ企画(電話:03・3353・7440)、またはエイベックス・エンタテイメント(株)配給部(電話:03・5413・8935、FAX:03・5413・8936)まで。