広島県福山市にある「ホロコースト記念館」(大塚信館長)が、展示室の面積は現在の約3倍で展示内容も新たにした新館「新ホロコースト記念館」を10月2日にオープンする。新館では、第2次大戦当時、ナチスの迫害から逃れたユダヤ人少女アンネ・フランクが住んだオランダ・アムステルダムの隠れ家を再現。現地の資料館「アンネ・フランク・ハウス」が今回のために製作した、世界に数冊しかないアンネの綴った日記の高精度のレプリカや、父オットー・フランク愛用のタイプライターが展示される。
教会の敷地内で始まった小さなミュージアムであったが、95年6月の開館からこれまでに、当初の予想を上回る8万人が来場し、大人数での見学も相次いだことから、今回の新館建設に踏み切った。
記念館館長で聖イエス教会牧師の大塚信氏は、「記念館は当時の悲惨さを伝えているのではありません。平和を創るために何が出来るかと問いかける記念館にしたいのです」「(アンネの)日記の中で強調されているのが、自分自身を変えていく努力。外に向かっていくこと、自分自身を日々変えていくこと、私たちにはその努力が必要だということです」と新しい記念館に込めた思いを語った。
9月30日には開館記念イベントとして、ホロコーストから生還したガブリエル・バッハ氏の講演と、ホロコースト犠牲者の遺族で作曲家のベン・スタインバーグ氏によるコンサートが福山市神辺文化会館大ホールで催される。