米国から宣教医として来日し、ヘボン式ローマ字を発明したことで知られるヘボン博士(1815〜1911)が明治の文明開化を推進した足跡をたどろうと、NHKラジオ第2のカルチャーラジオ「歴史再発見」で、「ヘボンさんと日本の開化」が、今月30日から12月まで放送される。毎週火曜日午後8時半から同9時までの放送で、再放送は翌週火曜日午前10時から同10時半まで。NHKネットラジオ「らじる★らじる」でも聴けるという。
講師は、明治学院大学の前学長および前院長で同経済学部の大西晴樹教授。テキストはNHK出版から今月25日に税込977円で発売されている。
大西教授はテキストの中で、武士町人の分け隔てなく無償で医療を施したヘボン博士について、「ヘボンさんでも草津の湯でも、恋の病は治りゃせまい」と俗謡で歌われるほど庶民に慕われていたと紹介。「ヘボンさんと日本の開化」という題も、「学位」目線や「聖人」目線ではなく、「庶民」目線から付けたと説明している。最新の研究成果を交えつつ、「ヘボンの栄光のみならず、人間としての苦悩をも包み隠さず紹介していくようにしたい」と言う。
なお、NHK文化センター青山教室(東京都港区)では、大西教授を講師に、「歴史再発見『ヘボンさんと日本の開化』~明治日本を拓いた宣教師」と題する講座が、8月28日から10月9日まで6回にわたって開かれている。
ヘボン博士(ジェイムズ・カーティス・ヘップバーン)は、1815年米ペンシルバニア州生まれ。プリンストン大学を卒業後、医学の道を志してペンシルバニア州立大学で学び、1840年に妻クララと結婚。マラリアなどのために中国のアモイでの伝道を断念したが、1846年にニューヨークへ帰り、医療活動を開始。1859年に来日し、神奈川で医療活動を行い、横浜でヘボン塾を始めて教育活動を本格化した。
その後、同博士は1867年に日本で最初の本格的な和英・英和辞書を出版し、それを編纂したときにヘボン式ローマ字表記法を考案した。1875年にバラ夫妻にヘボン塾を委ねた後、1877年に東京・築地に設立された東京一致神学校、ヘボン塾の後身である東京一致英和学校と、その予備科を前身とする英和予備校との合同で、1886年に明治学院が設立された。
ヘボン博士は1892年に米国へ帰国し、1911年に同国ニュージャージー州でその生涯を終えた。
■ NHKラジオ第2「ヘボンさんと日本の開化」
放送日:火曜日 午後8時半〜9時
再放送日:翌週火曜日 午前10時〜10時半
放送期間:2014年9月30日〜12月23日(再放送12月30日)