中東レバノンの首都ベイルート東部のキリスト教徒居住地区で19日、車に仕掛けられた爆弾が爆発し、多数の死傷者が出た。ロイター通信によると、キリスト教ロマン派で反シリア派のアントワーヌ・ガネム国会議員(64)を含む市民ら7人が死亡、20人近くが負傷。同議員を狙った爆弾テロと見られている。
治安当局者はロイター通信に対して、「爆発はシン・エル・フィル地区のメトロポリタンホテル近くで起こった」と発言。AP通信が治安当局者の話として伝えたところによると、爆弾テロの目的は直ぐにはわからないと言う。事件について反シリア勢力は、レバノンの支配を狙うシリアが関与していると主張。一方、シリア政府は同日、爆弾テロがレバノンとの関係回復に取り組んでいるシリアをおとしめる「犯罪行為」と非難した。
レバノンでは05年2月に反シリア派のハリリ元首相が暗殺されて以来、反シリア派議員の殺害が相次いでいる。昨年11月には同じくキリスト教マロン派で反シリア派の急先鋒であったピエール・ジュマイエル産業相が、乗っていた車を銃撃され、死亡。今年6月には自動車爆弾テロによって、反シリア派政治勢力「3月14日グループ」に所属していたワリド・イド国会議員と息子ら10人が死亡、11人が負傷している。
レバノンでは25日、ラフード大統領の任期満了に伴い大統領選出のための国民議会が招集される予定で、反シリア派・親シリア派間で駆け引きが活発化していた。
一方レバノンでは、キリスト教徒居住地区での不可解な爆弾テロが多数発生している。AP通信によると、今年5月にはレバノンのキリスト教徒が多く住む高級住宅地区にあるショッピングモールで爆弾が爆発し、63歳の女性が死亡、12人が負傷している。また、6月にはベイルート東部のキリスト教徒居住地区に停車していた空のバスが爆発し、通行人7人が負傷した。