昨年11月に超大型の台風30号(ハイエン)に襲われたフィリピン・レイテ島タクロバン地域を支援するため、新生宣教団は、現地の30教会と協力して10月中旬から、新プロジェクト「ホープ・フォー・リビング フィリピン(HOPE for LIVING PHILIPPINES)」を始動させる。現地の教会学校に、福音を分かりやすく学べるツールと食事をサポートすることで、依然として不安定な生活を強いられている現地の子どもたちに霊的・物質的支援を行なう。
今月5日には、福音学習のためのツールとして、マンガ聖書『ザ・メサイア』などのスタディ・ガイドブック合計5千セットを送り出す発送式を、埼玉県の鳩山町にある同宣教団施設で行なった。12月にはさらに通常の聖書を発送する予定だという。
今回発送されたのは『ザ・メサイア』と、それを年齢に合わせて分かりやすく解説するツールである「マンガ・ストーリーブック」や「マンガ・スタディガイド」など。
マンガ・ストーリーブックは、聖書の中から代表的な16の物語を選び出し、一つひとつの物語を一枚の絵を用いて説明する紙芝居のようなもの。子どもが見る面には聖書の一場面が描かれており、裏面には教師が読むテキストや関連する聖書箇所、子どもたちに投げ掛けたらよい質問、暗唱聖句などが記載されている。2〜6歳程度の幼児向けのツールで、同宣教団としてツール開発で行う初めての試み。
一方、マンガ・スタディガイドは、『ザ・メサイア』の内容を7回のレッスンに分けて学ぶキット。各回、教会学校で用いる冊子と、宿題用の冊子の2つで1セットとなっている。いずれも記入式で、7〜15歳の小中学生向けツールだ。
新生宣教団は、こうしたツールを台風30号が直撃し甚大な被害が出たレイテ島タクロバン市の現地30教会に提供。この30教会を通して、現地の子どもたち約3600人へ、福音を学ぶ機会と食事を届ける計画だ。日曜学校と食事の提供は、「教会子どもプログラム」として10週間にわたって行なわれる。1週1回のペースで福音の学びと食事を提供。修了者には聖書を贈呈する。
5日の発送式には、日本ウィクリフ聖書翻訳協会の宣教師として10年以上にわたってフィリピンで奉仕してきた福田崇氏や、日本在住のフィリピン人牧師や信徒らが参加。また、駐日フィリピン大使館のギルバートG・B・アスケ次席大使も参加した。
同宣教団の岩岡稔員(としかず)総主事は発送式で、「フィリピンと日本の関係は長い歴史の中で全て良かったわけではなかった」とコメント。「タクロバンの地域においては、(太平洋)戦争時、非常に激しい戦闘が行なわれた地域でもあります。それを私たちは伝道文書を送ることで、マイナスからプラスに転じていきたいと思っています」と語った。
新生宣教団はこれまで、今年4月と7月にスタッフをフィリピン現地へ派遣し、調査を行なってきた。支援を行なうタクロバン市は、フィリピンの中でも有数のリゾート地で、年間観光客は70万人を超える。しかし、昨年の台風により海岸沿いにあったあらゆる施設が被害を受けた。7月に訪問した時点でも、学校が破壊されたため、子どもたちが学校に行けず空き地で遊んでいるような状況だったという。
また、ある教会の牧師は、自宅、教会、親、兄弟、妻、子ども全てをこの台風で失ってしまった。現地の教会を訪れても、「聖書がない」という声がどこでも聞かれるほどであったという。教会学校を開き子どもたちに福音を伝えるにしても、最低限のツールもない状況があったことから、『ザ・メサイア』を含むこうした伝道用ツールを提供することを決めた。
「教会子どもプログラム」の実施には、制作や印刷、送料、食事代、活動調査などで約700万円の資金が必要。現在までに必要な全ての資金が集まったわけではなく、同宣教団は12月まで献金を募っている。活動の様子はフェイスブックやニュースレターで伝えている。プログラムの詳細・献金はこちら、INDIEGOGOでの紹介ページ(英語)はこちらから。