昨年12月にグロリア・アーツから2人同時に写真集を出版した姉弟音楽ユニット「Rainbow Music Japan」。姉の佐々木静さんは『Shizuka Living』と題した写真集を、4つ年下の弟、潤さんは『STYLE Jun』をそれぞれ制作。2つの写真集の特徴は、巻末に添えられているCDを聴きながら見ることに、楽しさ、面白さがあることだ。
『Shizuka Living』では、詩画作家・星野富弘さんが書評の中で、「芸術家が何人もあつまって、1人になったようだ」と表現するように、静さんは「趣味」の領域を遥かに超えたフラワーアレンジメント、オリジナルケーキのレシピ、トールペイントの作品などを紹介している。写真に添えられている静さんの幼少期からの証しは、神様から与えられた賜物、計画を純粋に受け入れ、喜びの中で今も歩んでいる様子が描かれている。また、CDには静さんと潤さんが作詞作曲したオリジナルの賛美が収められている。
『STYLE Jun』では、潤さんが写真からインスピレーションを受けてピアノを即興演奏した曲がCDに収められている。「即興は、写真を見ながら、自分が感じたままを演奏しました。『もう一度同じ曲を弾いてほしい』と言われても、二度と同じものを弾くことはできません。祈りの中で、神様が僕の手を動かしてくれている感覚に似ています。『自分で、次はこうしよう』とか、『こんなメロディにしよう』と考えているのではなく、本当に勝手に弾いて、弾き終わっているのです。自分でも『すごい曲ができたな』と思う時もあります」と笑顔を見せる。
静さんと潤さんは、牧師家庭に生まれ育ち、幼少期を海外で過ごした。「経済的には決して豊かではなかったと思うのですが、家族みんなで祈り、一つひとつの困難を乗り越えてきました。僕たちの『信仰』は、あの時のことが大きかった気がします」と潤さん。姉のやることは何でも真似していたという幼少期。姉がピアノを習い始めたのを見て、自分もピアノを弾いてみたくなり、同じように習い始めた。
「両親に『うるさいから、もう弾くのをやめてちょうだい』と言われるまで弾いていたのは潤でした。小さい時から、本当にピアノが好きで、『練習しなさい!』なんて言われたことは一度もないほど。神様から与えられたのでしょうね。私はすぐに諦めて、ピアノは潤に任せることにしました」と静さんは話す。
2人のコンサートでは、静さんが歌を、潤さんがピアノを担当。映し出される影像、静さんの透き通るような歌声、潤さんのピアノは時に優しく、時に力強い見事な化学反応を起し、聴きに訪れた人々を魅了する。即興で行われるフラワーアレンジメントも見ごたえ十分。潤さんが奏でるピアノに合わせて、静さんが花を生けていく。元気でダイナミックな曲は大きく明るい花を、静かな曲の時は可憐な小さな花を。こちらも姉弟だからこそできる見事なコンビネーションだ。
演奏中に時々なされるアイコンタクトは、言葉はなくても、そこに大きな信頼と愛情を垣間見ることができる。「さすが姉弟ですね」と声を掛けると、「そうですかね。僕たちは全く意識していないというか、日常のことなので、そんな風に言っていただけると嬉しいような照れくさいような」と2人は笑う。
自身が生けた花を見ながら、「私はお花が大好きです。どのお花もみんな美しい。しかし、お花だけが私を和ませ、癒してくれるのでしょうか。そうではありません。『キリストには代えられない』のです」と静さんは話す。また著書の中で、決して人前で歌うことが得意でなかった自分に、潤さんが作詞作曲した曲を歌う機会が巡ってきた時のことを話している。自信がなく、絶望感に苛まれ、「どうして私なのですか?」と神様に問い続けていた時に、ある聖句が心に迫ってきた。
「また、神は地位のある者を無力な者とするため、世の無に等しい者、身分の卑しい者や見下げられている者を選ばれたのです」(1コリント1:28)。神様の栄光を現すために、あえて何もない私を選ばれたのだと、その時、再び祈り、神様にひれ伏したという。
静さんの代表曲の一つで、潤さんが作詞作曲した「You are Precious」に、「生きる意味さえ見出せなくて 眠れない夜に一人泣いてた これからはもう泣かなくていい 私の目にあなたは尊い」の一節がある。静さんと潤さんの賛美、作品の一つひとつには祈りがあり、喜びがあり、感謝がある。プレッシャーに押しつぶされそうな夜も神様を見上げ、「私の目にあなたは尊い」の御言葉を信じ、突き進む。可憐で静かな印象の静さん、どこかおどけていて優しい印象の潤さんの2人の強さがこの曲に込められている。
2人は、渋谷の東京山手教会で9月6日に行われる「富弘美術館を囲む会東京・神奈川支部」主催によるコンサート「Color of Tomihiro Hoshino」に出演する。入場無料。事前予約は満席ですでに申し込みを終了しているが、当日席もある。詳しくは、富弘美術館を囲む会 東京・神奈川支部(電話:044・833・2552)まで。