国際テロ組織アルカイダのメンバーによってハイジャックされた旅客機計4機が、ニューヨークの世界貿易センタービルなどに激突し、約3千人の犠牲者を出した米同時多発テロ事件(9.11テロ事件)から、11日で6年が経った。全米各地では、犠牲者の名前を読み上げるなどして、様々な追悼イベントが行われた。
世界貿易センタービル跡地「グランド・ゼロ」近くに位置する米トリニティ教会のセント・ポール教会では、同教会の鐘「希望の鐘」を鳴らして事件発生6周年を記念し、市民が参加しての追悼礼拝を行った。また、ワシントンにある大聖堂ナショナル・キャセドラルでは同日朝、異宗教間での追悼礼拝を行い、旅客機が追突した時間に合わせて追悼の鐘を鳴らした。同日夜には平和のための徹夜祈祷を開催。犠牲者を覚え、平和のために祈るよう呼びかけた。
一方、遺族ら数千人が参加した追悼式典は、今年は跡地復興のための工事が本格化したためグランド・ゼロから隣接した公園に移して行われた。雨が降る中、最初の旅客機が突っ込んだ午前8時46分に黙祷をささげ、現場で救助作業にあたった消防隊員、警察官らが犠牲者全員の名前を読み上げた。
また、ハイジャックされた3機目の旅客機が追突した米国国防総省本庁舎(ペンタゴン)でも同日、軍関係者や公務員、消防隊員などが参列し、宗教の枠を超えての式典が行われた。式典の後には、クリスチャンバンドのニューズボーイがコンサートを開催。ボーカルのピーター・フラーは、「9月11日の出来事は我々すべてに衝撃を与えた」と語った。
事件は2001年9月11日、乗客・乗員92人を乗せたアメリカン航空11便が午前8時46分、米国を象徴する高層ビル、世界貿易センタービル北棟に突入し始まった。同9時3分には、同ビル南棟にユナイテッド航空175便が追突。同9時38分には、アメリカン航空77便がペンタゴンに突入した。一方、同じくハイジャックされたユナイテッド航空93便では、携帯電話などによる外部との連絡でハイジャックを自爆テロと認識した乗客が機の奪還に乗り出すなどし同10時3分、ペンシルバニア州シャンクスヴィルに墜落した。
これにより、ハイジャックされた旅客機の乗客・乗員は全員が死亡。世界貿易センタービルでの犠牲者は今年、テロ発生約5ヵ月後に倒壊したビルの粉じんなどを大量に吸引して死亡したとみられる女性1人が犠牲者に加えられ、計2750人となった。事件全体で2974人が亡くなったとされているが、犠牲者の内1000人以上の遺体が見つかっていない。
最近の世論調査では、米国民の約8割が同時多発テロを生涯の中で最も重大な歴史的事件と回答。再度テロ攻撃を受けると考える人も多く、事件による米国民への衝撃が依然として残っている。
事件の跡地では、すでに「フリーダムタワー」の工事が本格化しており、来年には他のビル3棟が着工される見通し。再開発が完了するのは2012年の予定となっている。一方、テロ事件では救助に当たった消防士や警察官が360人以上亡くなっており、ビル倒壊でアスベスト(石綿)やコンピュータや蛍光灯に含まれていた水銀などが撒き散らされ、それらを吸引した作業員らの間で呼吸器系疾患が多発している。