英国国教会の総会は14日、歴史的な投票を行い、女性も主教になれることが決まった。
英ヨーク市で行われた総会では、女性主教に関する問題が論じられ、その後3つある部会――主教・聖職者・信徒――各々で、少なくとも3分の2がこの議案に賛成票を投じた。
総会の3つの部会の票の内訳は以下の通り。
主教:賛成37 反対2 棄権1
聖職者:賛成162 反対25 棄権4
信徒:賛成152 反対45 棄権5
このことは、今年末までには初の女性主教が任命される可能性があることを示している。またこのことは、英国国教会が、現在女性主教を容認しているアングリカン・コミュニオンの20の管区と管区外教区に加わることも意味している。(注)
投票前、ジョン・センタム・ヨーク大主教は、結果を「抑制と分別とをもって」受止めるようにと求めていたが、結果が発表されたときには、歓声の渦が巻き起こった。
14日の投票が以前に投票にかけられたのは、18カ月前、2012年11月のことで、その際は信徒部会で3分の2以上の賛成に達しなかった。
ジャスティン・ウェルビー・カンタベリー大主教は、次のように述べた。
「今日は、20年以上前に女性司祭の任命で始まったことが完成した日です。私は今日の結果に喜んでいます。今日は、意見の不一致がありながらも、相互繁栄を模索する素晴らしい冒険の始まりの日です」
「私たちにとっての課題は、教会が意見の不一致をどう扱うかのよいモデルとなることであり、神学的見地において反対意見を持つ人々にも愛を示し続けることです。このことを実際に実現している組織は非常に少ないですが、もしわれわれがそれに成功すれば、互いを愛し合いなさいと言うイエス・キリストの呼び掛けをより完全な形で生きることになります。この投票結果に私は満足していますが、この結果が受け入れがたく、悲しむ原因となる人々が教会の中に存在することも私は心に留めています」
「私の目的は――そしてこれは教会全体の目的でもあると信じていますが――全ての人に歓迎と成長の場を提供することです。今日は、恵みの日であり、神からの贈り物の日、寛容の日です。『ウィナー・テイク・オール(勝者が全てを奪う)』というのではなく、愛をもって教会という家族が共に前に進んでいく日なのです」
14日に承認された議案には主教部会宣言も含まれ、5つの指針と決議手続きによって裏打ちされている。女性主教を認める議案投票後、総会では、議案の一部として提示されたことを受けて、授権法規(カノン)の投票を行い、既存の法規を廃止した。
14日の投票を踏まえ、女性主教容認の議案は総会の法律委員会に持ち込まれ、英国議会の教会委員会で検討される。議会の承認を受けた上で、議案は今年の11月に国教会総会に戻され、そこで発布(法的な公式発表)された後、施行されることとなる。
14日の投票は、2013年7月の総会に始まり、ジェームズ・ラングスタッフ・ロチェスター大主教が率いて発足した女性主教に関する運営委員会が作成した新しい議案を受けたものであった。ジェームズ大主教は運営委員会を代表して、総会の議論を開始し、議論に答えながら、総会のメンバーにこの議案に投票するよう促した。
(注)アングリカン・コミュニオンの女性主教
女性主教の存在する管区と管区外教区:
アオテアロア、ニュージーランド、ポリネシア、オーストラリア、カナダ、米国聖公会、キューバ(管区外教区)、南アフリカ、アイルランド、南インド
女性主教を容認しているが、実際には現在に至るまで任命はされていない管区:
バングラデシュ、ブラジル、中央アメリカ、日本、メキシコ、北インド、フィリピン、スコットランド、スーダン、タンザニア、ウェールズ。
女性主教を容認していない管区:
ブルンジ、中央アフリカ、コンゴ、イングランド、インド洋、エルサレム・中東、ケニア、韓国、メラネシア、ナイジェリア、パキスタン、パプアニューギニア、ルワンダ、東南アジア、コーノ・スール、ウガンダ、西インド諸島、西アフリカ、香港