何歳の時にイエス・キリストを受け入れ救われたか?クリスチャンの10人に8人が、この問に4~14歳の年代を答えるという。このイエス・キリストを受け入れやすい年代の子どもたちに焦点を合わせた宣教の運動が「4/14の窓ムーブメント(4/14 Window Movement)」として世界的に広がりをみせている中、同ムーブメントの提唱者であるルイス・ブッシュ氏を招いてのリーダーシップサミットが12日、東京・御茶ノ水のお茶の水クリスチャン・センター(OCC)で行なわれた。
世界への不満、ソーシャル、家族・教会の不在
ブッシュ氏は、北緯10~40度の地域が、福音を聞いていない人々が最も集中しており、福音宣教が困難な地域であるとする「10/40の窓(10/40 Window)」を提唱した南米出身の宣教学者。10/40の窓の提唱から約20年余り経ち、ブッシュ氏が光を当てたのは、4歳から14歳までという年代層だ。
4/14の窓ムーブメントはここ数年ですでに世界各国で動きを見せている。最近訪れたという中国では、13~18歳の子どもを対象に220の質問をする調査を行った。しかし、幸せな将来を描いている子どもは非常に少なかったという。調査では、最近3カ月間に自殺を考えたことがある子どもは47%、自殺のために何らかの行動に移した子どもは37%もいるという衝撃的な結果も示した。ブッシュ氏は「4/14世代に働きかけるということは、嵐の中に飛び込むようなこと」と言う。
こうした4/14世代の特徴は、1)世界に対して不満を持っている、2)ソーシャル・メディア世代、3)自分を満たしてくれる家族と教会の不在、の3つがある。特に1)については、子どもたちが世界に対して不満を持っているのは、北米やアジアなど問わず、世界的な現象だと指摘。「家族や教会によって、道徳的な価値観が育ってきたものがなくなっている。これが現実。この現実から出発しなければならない」と語った。
危機的な日本の教会 30歳以下はわずか6%
さらに、ブッシュ氏は日本の教会の危機的な現実を紹介した。このリーダーシップサミットの直前に聞いたという最新の調査によると、日本の教会では、30歳以下の割合はわずか6%だという。「この数字だけを見ても日本の教会の危機的状況が分かる」とブッシュ氏。しかし、これはクリスチャン人口が少ない日本だけの話ではない。クリスチャン人口が約3割だと言われる韓国も、10年前は18歳以下の割合が3割だったのに対し、現在は2割程度と急減しているという。
一方、4/14世代はインターネット世代だとして、今の子どもたちは1日に7時間以上もインターネットに接続している状態にあるという統計を紹介した。「地理的にどこにいるかよりも、テクノロジーによって彼らの存在位置が決まる。東京、ソウル、サンパウロにいようが、どこの国にいるということよりも、どのテクノロジーを使っているかが影響を与える」とブッシュ氏。「実際に彼らが見聞きしている情報は、インターネットから来る情報がほとんど。以前は親や教会から来た価値観が、今はインターネットから来ている」と語った。
その上で、ブッシュ氏は聖書に登場する4/14世代を挙げた。イスラエルが落ち目にあるとき、神が起こしたのはまだ幼い子どもであったサムエルだった。そのサムエルが大人になり、サウルやダビデといったイスラエルの王に油注ぎをすることになる。また、ダビデも巨人ゴリアテと戦ったときはまだ少年だった。列王記に登場するユダの王ヨシヤは8歳で即位したが、ユダ王国内にあった偶像を排除した。ペルシャに住む孤児の娘エステルは、王妃となり、ユダヤ人を破滅から救い出した。偉大な預言者エレミヤも幼いころに召命を受けた。聖書を見るとき、神がいかにして幼子を用いてきたかを知ることができる。
ブッシュ氏はまた、4/14世代が直面する7つのチャレンジとして、1)霊的、2)知的、3)身体的(健康的)、4)経済的、5)関係性、6)社会的、7)宣教的の7つの分野を挙げ、「どのようにこのようなチャレンジに応えていくのか」と参加者に問い掛けた。
15歳からの教会離れ 昔は戻ってきたが、今は戻ってこない
質疑応答の時間では、4~14歳という年齢の区分について尋ねる質問があり、ブッシュ氏は15歳になったら教会を離れると言われているアメリカの教会事情を紹介した。昔は15歳になって教会を離れても後で戻ってくるものだったが、今は離れて帰ってこないのが現実。統計的に15歳ごろから教会離れが多くなることから、4/14の窓ムーブメントでは学年などにとらわれず、14歳という年齢を設定したと説明した。
一方、アジアでは3世代が共に礼拝することが多いが、欧米では年代別に礼拝が別れている。4/14の窓ムーブメントでは礼拝の在り方についてどう考えるのかという問いには、「この面ではアジアの教会から学ばなければいけないと思う。4/14の窓ムーブメントでも(世代を越えて)一緒に礼拝することの重要性を強調しなければいけないと思う」と語った。
子どもたちに必要以上のプレッシャーをかけるのではないかという質問には、「(子どもたちに)プレシャーがかかるのも事実だと思うが、実際の問題は(子どもたちに対する)期待が少な過ぎるということだと思う」と回答。ブッシュ氏は自身の少年時代を振り返り、「(少年時代は)私に対する期待がなかった。期待してくれた方がよかったと思う」と語った。